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いざ球技大会! 4

「よし…みんな頑張ろう!次勝てば決勝だよ!」

「「「おおーー!」」」


試合開始前、私たちはスポ根漫画並の円陣を組み、気合を入れた。

グラウンド中に私たちの声が響き渡る。


いよいよ始まるんだ…戦いが…!

武者震いがするぞ…!


「花澤先輩!」

「らん。あんたここで何してるの?」

「私バスケなんですけど、負けたから見学に来ちゃいました!」


軽くストレッチをしていると優雅に微笑んだらんが駆け寄ってきた。


「見せ物じゃないんですけど…」

「何言ってるんですか!私もこの勝負に運命を委ねた身…しかと見届ける義務があります!」


らんは何故か力説をした。

なるほど…つまり私の負けた姿を見に来たということか…

しかし!そういう訳にはいかない!

何故なら私が勝つからだ!

見とけよ双子…絶対に負けな…


「ちり、何後輩を睨みつけてんのよ。」


勝ちたいという思いの表れか、私はらんを睨みつけていたらしい。

千紗に声をかけられるまで気づかなかった。

らんも少し驚いた顔のように見える。


「ごめん、気持ちを高めてた。」

「だからって睨むことないでしょ。」

「だ、大丈夫です!気にしないで下さい!それより花澤先輩、頑張って下さい!」


らんは私の手を取り、真っ直ぐな瞳で私に応援の言葉を投げた。

私にとってそれは意外な言葉だった。


「な、なんであんたが私の応援すんのよ…」

「なんでって…花澤先輩の大活躍が見たいからです!」


あー…そう言えば昨日もそんなこと言ってたっけ…

私が勝ったら損するのはらんのはずなのに…

コイツ意外とバカなのか…?


「ちり、そろそろ試合始まるわ。」

「わかった。らん、さっさとベンチから出なさい。あんたは仮にも敵なんだからね!」

「えー…花澤先輩の応援に来たのに?」

「私の応援だとしてもさっさとベンチから出ろ!」

「はーい…」


らんは背筋を丸め、ため息まじりでコートから出た。

背中から哀愁を感じるが、試合中に関係ない人はベンチにいちゃダメだからね?

…らんって意外と抜けてるよね。


「花澤さん!頑張ろう!」

「うん、頑張ろう。」

「勝ったら決勝だね!」

「ここまで来たら優勝狙うしかないって!」


うん…クラスメイトたちのやる気も充分。

この勝負に勝って…私は優雅なぼっちライフを取り戻すのだ!!


と、気合も十分だった。

練習も十分やったはずだった。

はずなのに…!!


「いやー凄いわね。色葉すず。」

「甘く見てた…こんなはずではなかった…」


四回裏、我ら三年A組の攻撃。

私と千紗はベンチに座り、打順が回ってくるのを静かに待っていた。

まずい…このままじゃまずい…!

現在のスコアは1対0…そう、引き分けなのだ…

こ、こんなはずじゃなかった…!

球技大会は一試合五回まで…この回では何としてでも点を取りたい…!


「いや…みんなよくやってくれてるよ?守備の連携もいい…現に一点しかとられてないもの…なのに!何だアイツは!」


私はグラウンドのど真ん中でドヤ顔をかましているすずを指さした。

私たちが無得点の理由…全てはあのピッチャー色葉すずのせいだ!


「ふざけてる!アイツ絶対経験者だろ!」

「もしかしてちり知らないの?色葉すずのこと。」

「何が!?」

「すずさんって運動神経がとてつもなくいいのよ?勿論、ちりも凄いけど…」

「もしかしてソフトボール経験者!?」

「違う。でも中学の頃バスケットボールで県の選抜選手に選ばれたらしいわ。」

「バスケとソフトは違うじゃん!」

「たまにいるでしょ。どんなスポーツでもそうなくこなすヤツ。」

「そつなくってレベルじゃないだろ!」


この試合でヒットを打てたのは私のみ…

もし仮に次の打順で私がホームランを打てたとしても出塁者がいなかったら逆転は不可…


「ねぇ…引き分けの場合ってどうなるの?」

「…ジャンケン。」

「は?」

「時間の都合上、ジャンケンよ。」

「はぁぁ!!??ジャンケンなんかで我々の勝敗が決まってしまうのか!?我々の汗と涙の練習の日々がジャンケンで決まるのか!?舐めてんのか!?舐めてんのかこの学園は!」

「いや…たかが球技大会で何熱くなってんのよ…」


千紗は若干…いやかなりひいていたがそんなの関係ない。

この二週間、放課後を全て下らない球技大会につぎ込んできた!

なのに…ジャンケン!?


引き分けは絶対ダメ…運になんか任せられない…

絶対に勝たなきゃ…絶対に…!

考えろちり…お前のその優れた脳ミソをフル回転させるんだ…!

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