球技大会前日 2
「どうしたんですか?花澤先輩。」
「いや明日の球技大会休もうかなって…」
あー…なんか本当にどうでも良くなってきた…
明日は休んで練習で潰れたせいで読めなかった本でも読もうかな…
やる気になってるクラスメイト達には少し悪い気もするが仕方ない。
だって私のやる気はもうゼロだもの。
「えぇ!?なんで!?ちりちゃんあんなに練習してたのに!」
「それは私の優雅な昼休みを取り戻すためだったからね。あんたから逃げられないとわかった今、頑張る理由なんかないじゃない。」
…てかなんでこいつ私が必死に練習してこと知ってるの?
やば…鳥肌立ってきた…
一昨日見たホラー映画より怖いわ…
「私…花澤先輩の活躍楽しみにしてたのに…」
らんは残念そうにそう言った。
私だって優雅な昼休みを手に入れることを楽しみにしてたっつーの!
「花澤先輩、昔から運動神経よかったじゃないですか。」
「よく覚えてるね、そんなこと。」
「覚えてますよ!小学生の頃、ドッチボールで上級生の男子ボコボコにしてたじゃないですか!」
「やめろ、その話は二度とするな。」
「何でですか!?あの時の花澤先輩すっごくカッコ良かったのに!」
「だからやめろって言ってるでしょ!」
私は持っている鞄でらんの頭を叩いた。
らん、そんな恐ろしい話をキラキラした目でするな。
確かにあの時は同級生から『ちりちゃんカッコイイ!』『すごーい!』なーんて尊敬の眼差しを向けられてたけど…
今となってはちょっとした黒歴史だからな。
「お願いします!明日きてよ!私またちりちゃんの大活躍見たい!」
「嫌だ!私は無駄な労力は消費したくない!」
私が断固拒否するとらんは諦めたのか、シュンとした顔をした。
「はぁ…もう帰ろ。」
私が右足を踏み出した時だった。
らんは唇を噛みしめ、私を見て叫んだ。
「…もし、私がその勝負に参加するって言ったら明日来てくれますか!?」
「は?」
な、何言ってんのコイツ…
「すずとちりちゃんの勝負…納得出来ません。だって私はちりちゃんが勝つと思ってるから。」
「うん、私もそう思う。」
だってあんなに練習したんだもん。
あくまで試合をしたらの話だが!
「でも…私が原因でちりちゃんの活躍が見れないのなら…乗りましょう、その勝負。」
「本気で言ってんの?」
「に、二言はありません…!」
再び、私の闘志が燃え上がってきた。
らんの言葉が私の闘志の着火剤になったのだ。
「もし私が勝ったら昼休み追ってこない?」
「…で、でももしすずが勝ったら週一でお昼ご飯を食べていただきます!しかもすずとは別で時間をとって下さい!」
なるほど…負けたら週ニでこいつらと飯を食わなきゃいけないのか…
…うん、ここはリスクを犯す時だ。
私はやる、やってやろうぜ花澤ちり!
「わかった、明日の球技大会…例え台風が来ようとも四十度の熱が出ようとも必ず参加するわ!」
「う、うん…!台風きたら中止になるし、熱が出たら休んでほしいけど絶対に来てね!」
「約束しよう。必ず100%…いや120%の力を発揮することを!」
よし…!早く帰ってカツ丼食って寝よう!
私はピースをしながららんにそう宣言した後、駅に全力ダッシュで向かった。




