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ちりVSすず 4

「…ちり、本気だね。」

「当たり前よ。目指すは優勝よ。」


球技大会二回目の練習の日、ちりは明らかにこの前とは違っていた。

目が本気だ。

それに昼休みはソフトボールの子達のとこらへ行き、練習メニューまで聞きに行っていた。

千紗は何があったのか不思議に思ったが、ちりが本気になるのは良い事だと思い放置した。


絶対に勝つ…!

ちりは気合を入れて素振りを始めた。


「す、すごい…!花澤さん本気だね!」

「私たちも頑張らないと!花澤さん、わざわざソフトボールの子達にどんな練習すべきか聞いてきてくれたんだって!」

「そうだよね…頑張ろう!」


ちりに釣られ、クラスメイト達も更に本気になった。

そんな姿を見て、千紗は満足そうに微笑んだ。

みんながやる気になってくれて本当によかったと思う。

クラスの親睦も深まる上食堂の無料券まで手に入るのだから。


「山下さん。さっさと練習するわよ。」

「あ、ごめんなさい。」


ちりはぼっーと立ている千紗をキッと睨みつけた。

ちりに怒られるなんて心外だと思いながらも、千紗はバットを手に取り素振りを始めた。


「素振り終わったらキャッチボール、その後はノックするわよ!」


ちりは本気だ。

本気と書いてマジと読むくらい本気だ。




「じゃあ私はこの道具を返してくるから皆んなは帰ったていいわよ。」

「山下さん、ありがとう。」

「またねー。」


千紗は借りてきたカゴを体育科に戻しに向かった。

この間はちりと二人で行ったが、一人でも持てる重さだったので借りるときはちりが返すときは千紗と担当を決めた。

カゴを持ち、歩いていると見覚えのある後ろ姿があった。

あの赤いリボン、間違いない。


「色葉さん。」


躊躇いもなく、千紗は彼女に話しかけた。

声をかけた女の子は足を止めて振り返った。

少し驚いた顔をした女の子はやはりすずだった。


「あ、えっと…ちりちゃんのクラスメイトの…」

「自己紹介をしていなかったわね。私は山下千紗。ちりの友達よ。」

「え!?ちりちゃんの友達ですか!?」


すずは目を輝かせながら千紗を見た。

そんなすずを見て千紗はニヤリと笑った。


(よしっ…!食いついた…!)


「そうよ。貴方たち毎日のようにクラスに来るから覚えたのよ。」

「そうなんですか!」

「確か貴方は色葉すずさんよね?」

「はい!」

「少し、話したいことがあるの。放課後、予定あるかしら?」

「放課後は部活があるのでその後なら大丈夫ですよ?」


千紗が見た感じだが、この子は警戒心ゼロだ。

話が早い子で助かる。(バカで助かった。)


「勿論。私も部活があるからその後でいいわ。駅の近くにカフェがあるでしょ?あそこで話しましょう。」

「あー!あそこですね!勿論大丈夫です!あっ!私もクラスでのちりちゃんのこととか聞いてもいいですか?」

「いいわよ。」

「やったぁー!じゃあまた後で!千紗先輩!」


そう言い、すずは手を振りながら体育館に向かった。

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