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ちりVSすず 2

「ちりちゃんもソフトボールなの?」

「うん。あんたも?」

「そうだよ?私はバスケ部だからね。」

「へぇ。」

「じゃあ私練習あるから!またね!」


一通り話し合ったすずは風のように走り去っていった。


「…あれが例の双子ね。」

「うん。」

「ここのところあの双子、昼休み毎回クラスに来るわよ?」

「うん。だから逃げてるの。」

「詳しく聞かせて欲しいわ。」

「あんた今メガネ外したらぶん殴るから。」


すずらんと再会して二週間。

アイツらは毎日のように私のクラスに来やがる。

だから昼休み開始の合図と同時に教室を飛び出してる。


もちろん中庭でご飯を食べていることもバレているのであそこにも入れない。

ここ二週間、ほこりっぽい旧校舎の階段でツナマヨおにぎりを食べ続けている。


大好きなツナマヨもこれじゃ旨さ半減だ。


「てかさなんであんた球技大会そんなにやる気なの?」

「やる気ってわけではないけど学校の行事ならしっかりやるのは当然でしょ。」

「そんなもんかねぇ…」

「それに一位になったら食堂の無料券一人五枚貰えるのよ?」

「私食堂使わないし。」


それに一位なんて無理な話だ。

ただでさえうちのクラスは運動部少なく不利である。

みんながやる気ないのは当然のことだ。


「あ、二人ともー準備運動しといたよー。」

「じゃあキャッチボールから始めましょう。」


グラウンドに着くと、今にも帰りたそうな顔をしたクラスメイト達が私たちを待っていた。

ちりはしっかり準備運動をしたクラスメイト達を意外に思ったが。グラウンドを見てすぐに納得した。

グラウンドには見張りの先生がちらほらいた。

しかも私たちの練習場所付近には絶大な人気を誇る要注意人物、大野先生がいた。


真面目なところを見せようって話ね、納得…


「ちり、キャッチボールしましょ。」

「はいはい…てかメガネつけたままじゃ危なくない?」

「大丈夫、気をつけるわ。外すとオタクモードになっちゃうから。」

「それは勘弁だわ…」


特に組む相手もいないので、ちりはメガネをつけたままの千紗とキャッチボールを始めた。


えっと…グローブは左手で、ボールの握り方はこうか…

ソフトボールなんて中学の授業でしかしたことないからなぁ…


「投げるよー。」

「はーい。」


ちりは思いっきり千紗に向かってボールを投げた。

千紗はちりの投げたボールをキャッチし、驚いた。


「ち、ちり…?」

「ん?何?」


キョトンとした顔をしているちりに対し、千紗は珍しいものでも見たような顔でちりを見ている。


「もしかしてソフトボールやってた?」

「え、やってないけど?」

「だとしたら上手いわよ!?なんで!?」

「な、なんでって…普通に投げただけなんですけど…」


いつも冷静なメガネモードの千紗は興奮しながら話しているが、ちりは腑に落ちない顔をしている。


だって普通に投げただけなのに…


千紗が驚くのも当然だ。

ちりの投げたボールは速い上に千紗のグローブに向かって真っ直ぐ投げられたのだから。


「じゃあもう一回!投げてみて!」

「いいけど…」


あんなに言うのならさっきのは偶然かもしれないと思った千紗はちりにボールを投げ返した。

もちろん、千紗の投げたボールもちりはしっかりとキャッチした。


「はい、投げるよ。」

「うん…」


だがもう一度投げてもちりのボールの速度、コントロールが落ちることはなかった。

むしろ前より良くなっている気もした。


「す、すごいよ!ちり!」

「は、花澤さんすご!」

「そういえば…花澤さんってスポーツテストで学年一位取ってなかったっけ…?」

「ちょっと!バッティングもしてみてよ!」

「え、えぇ…?」


珍しく熱くなっている千紗に気づいたクラスメイトたちが集まり、彼女たちもちりの投球に大盛り上がりだ。

一方でちりは困惑していた。


お察しの方も多いと思いますが、ちりは運動神経がとんでもなくいいのです。


「すっご!そんなに飛ぶ?」

「やっぱり才能あるよ!花澤さん!」


クラスメイトが促すまま、ちりはトスされたボールを打ってみた。

もちろん結果は凄かった。

綺麗なフォーム、勢いのあるスイング、そして飛距離。

打たれたボールは他のクラスの練習場所にまで飛んでいってしまった。


「花澤さん四番じゃない!?」

「本当に上手いよね!何かやってた?」

「私にもコツ教えてよ!」


や、やばい…こんなことになるなんて…

ちりの周りにはクラスメイト達が集まり、囲まれてしまった。


な、なんかデジャブ…!

帰りたい帰りたい帰りたい…!


青ざめるちりなどお構いなしに、千紗を含むクラスメイト達は大盛り上がりだ。

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