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隣のカラー 5

「で、どうなのっ!?花澤さん!」

「…とりあえず仕事終わらせない?」

「はっ…!そうだったわね…私としたことが不覚だったわ…」


ハッとした千紗はメガネを掛け直すと、無表情に戻り、冷静さを取り戻した。

そして再び作業にとりかかった。


ちりはその姿に困惑したが早く帰りたかったので、千紗には一切ツッコまずに作業を再開した。


「はい、これで終わりね。明日の朝配るものだから教卓の上に置いておけばいいのよね?」

「うん。」


作業を終えた二人は、教卓の上に封筒を置き、帰り支度を全て済ませた。


「…じゃあ帰りますか。」

「そうね。」


ちりは無表情で淡々と話す千紗に恐怖を抱いた。

何こいつ…二重人格なのか…?

だとしたらヤバすぎない…?

やっぱりあの時逃げておけばよかった…!


ちりは警戒しながら千紗の顔を覗き込んでみたが、メガネをかけている千紗は表情を一切変えなかった。


「仕事が終わったからオタクモード発動してもいいかしら?」

「それはマジでやめて!」


ちりはメガネを取ろうとした千紗の手を必死で押さえつけた。


ただでさえ仕事して疲れてるんだ。

これ以上疲労を増やしてたまるか。


「…聞きたいことたくさんあったのだけど。」

「本当に無理。疲れてるの。」

「はぁ…まぁ仕方ないわね。じゃあ私は部活があるからお先に失礼するわ。」


千紗は少しムッとした顔をしたが、すぐに立て直し、教室を出た。


はぁ…なんかどっと疲れた…

早く帰ろうっと。


ちりも教室を出て、昇降口へ向かった。

この二日間、本当に色々なことがありすぎた。


まぁ主にあの双子のせいなのだが…


やっぱり関わらなきゃよかった…

中庭で再開したあの時、もっとしっかりと突き放しておけばよかった…


ちりは後悔しながら下を向いて歩いていた。

だから気付かなかった。


「あれ…ちりちゃ…花澤先輩、こんな時間まで何してたんですか?」


進行方向から聞き覚えのある声が聞こえた。

でもなんだろう…違和感を感じる…

この声の主に敬語を使われることに違和感を感じる…


立ち止まり顔を上げると、左右に揺れるツインテールが目に入った。


「え、らん…?」

「はい!こんなところで会えるとは思いませんでした!」


らんはちりの顔を見ると、花が咲いたように優しく微笑んだ。


「何かあったんですか?」

「何かって…委員会の仕事ですけど…」

「ああ、そうなんですか。私は部活の見学に行ってたんです。よかったら一緒に帰りませんか?」

「あ、はい…よろしいですよ…?」


ハッキリ言おう。誰だこいつは。


目の前にいる上品に微笑む彼女は昨日私に迫ってきた奴と同一人物とは思えなかった。


話し方も違っていた。

昨日はテンションまかせのうるさい男子中学生のような話し方だったのに対し、今は落ち着いてるというか…年相応の話し方になっている…


…マジか、こいつも二重人格説が出てきたぞ。

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