第8話 最高の突っ込み師だな!
「べ、別にバカにはしてへんで。その逆やわ! 俺はケシケシの事、メッチャ気に入ったんやで!!」
「どっ、どこが気に入ったっていうんだよ!? ど、どう見ても俺の事をバカにしてるとしか思えないぞっ!!」
「ちゃうねん、ちゃうねん! 俺はケシケシみたいな奴を探してたんや! ほんまやで! ケシケシは気付いてないかもしれんけど、ケシケシはメッチャ『突っ込み』の才能があるで!! さっきから俺の『ボケ』を完璧に突っ込んでくれてたやろ?」
「つっ、『突っ込み』……??」
ヒトヤンからの意外な言葉でタケシの怒りの表情が少し和らいだ。
「そうや。『突っ込み』や。まぁ、俺の性格はこんなんやから、ほとんどの奴が俺の『ボケ』について来れへんねん。唯一、ついて来れるのがコメコメくらいかなぁ……でもアイツもたまにめんどくさがって俺の『ボケ』を無視しよるねん。だから俺はここ最近、純粋に『突っ込み』をしてくれる人を探しとったんやわ。そしてついに俺の前に現れた最高の『突っ込み師』がケシケシやってん!!」
「だっ、誰が『突っ込み師』だっ!?」(しまった!!)
「そう! それやそれ! ホンマ、ケシケシの突っ込みは最高やで!!」
「タケシ、凄いじゃない! アンタにも『取柄』があったのね!! ププッ……」
ギロッ!!
タケシは未だお腹を押さえながら爆笑しているヒロミを睨んだが、大きく深呼吸をしてヒトヤンの方を向き、少し諦めた表情をしながらこう言った。
「わ、分かったよ、ヒトヤン……俺の負けだ。いや、もうお前に突っかかっても勝ち目がない事に気付いたよ。なんか俺がバカみたいだし、疲れるだけだし……まぁ、俺が『突っ込み』の才能があるかどうかは分からないけど、今日一日はヒトヤンの『突っ込み師』になってやるぜっ!!」
「お―――っ!! ケシケシありがとう~っ!! メッチャ嬉しいわ!! 学校サボって京都に来た甲斐があったわ~っ!!」
「学校、サボって京都に来てたのかよっ!?」
ヒトヤンはタケシに突っ込まれて満面の笑みを浮かべながら、ケシケシに抱きついていった。
「わっ!! やっ、止めろヒトヤン!! 俺に抱きつくなよっ!! 男同士で気持ち悪いじゃねぇか!!」
「気持ち悪い? ほんならロミロミやったら良かったんか!?」
「ヒッ、ヒロミだって!? バ、バ、バカな事を言うな!! い、嫌に決まってるじゃねぇか!!」(あっ! しまった!!)
「フ―――ン……あっそう。私もタケシなんてお断りよ!!」
「いっ、いや……あの……アワアワ……」
タケシは焦った表情で『アワアワ』言いながらヒロミに近づこうとするが、ヒロミはプイッと顔を横に向けながら早歩きで前の方を歩いているコメコメ達のところに行くのであった。
そのヒロミの後姿を寂しそうに見つめているタケシに対し、ヒトヤンはタケシにいつになく優しい声で話しかける。
「ケシケシ……」
「な、なんだよ!?」
「なんかゴメンなぁぁ……?」
「あ、謝るんじゃねぇよっ!!」
こうしてヒトヤンは東京から来た修学旅行生達と、とても仲良く(?)なり京都観光を満喫するのであった。




