第4話 ありがとう!
「こ、これは何かの『ドッキリ』か何かなのかい?」
「アホかっ!! ちゃうわっ!! これは俺の『本心』やっ!! お―――いっ、お前等~っ!! 俺、思うんやけど、コイツ怒らせたらお前等全員、絶対に勝ち目無いで!! コイツ、マジでヤバイくらい強いで!! なっ? コメコメ!!」
ほら来た! という様な表情を一瞬したコメコメが、すかさずこう言った。
「そやな! ヒトヤンの言う通りや! 俺は『柔道の黒帯』やけど、コイツ見てたら勝てる気せんもんなぁ。アンタ、タケシって言うたっけ? タケシ君もコイツの事、本当は凄い奴やけど気が優しいから、そこらへんを上手い事、利用して良い様にコキ使ってるんちゃうの? でも、もうそろそろ止めとかなあかんで。俺の見た所、こいつは『お金持ち』と見た! 今から仲良くしとかんと将来、タケシ君が困る事になるかもしれへんで......」
焦りとは違う複雑な表情でコメコメの話を聞いていたタケシだったが、さすがに二人に突っ込みたい症状が発生し、思わず大きな声でこう言った。
「お、お前達、本当に中学生なのかっ!? 言ってることが大人みたいだぞ!!」
それに対してヒトヤンが答える。
「ああ、そうやで! 俺等は大阪の『青葉市立青葉第三中学校』の中学三年やで!!」
ヒトヤンの言葉を聞いて直ぐにヒロミが反応した。
「ちょっ、ちょっと~っ!! アナタ達、さっき地元の中学生って言ってたじゃない? アレは嘘だったの!?」
「嘘じゃないで! アレは冗談や!!」
「どこが冗談なのよ!? 完全に嘘じゃ無い!!」
ヒロミはあきれ顔でヒトヤンにそう言ったが、ヒトヤンは悪びれる様子も無く満面の笑顔でこう答える。
「だって、君等みたいな美人さん達と一緒に京都観光したかってんもん!! その為には嘘の一つや二つくらい、つくのは仕方ないんちゃうか~?」
「プッ…」
ヒトヤンのなんとも言えない愛くるしい笑顔での返事に対し、ヒロミ達、女子四人は吹き出してしまった。
「ハハハハッ!! もう、君は出会ったばかりなのに本当に憎めない子だね? それにタイチロウ君の事をあれだけ褒めるのも素敵な事だわ。私達も君に言われて、あっそっか。タイチロウ君凄いって納得しちゃったもんね。ねぇ、タケシ? アナタ達、もうタイチロウ君の事をイジメるのは止めたらどうなの!? 見てて醜いわよ!!」
ヒトヤン達が出会った時から優しい表情のヒロミであったが、この場面だけは厳しい表情になり、タケシに突っかかっていった。
そして普段そんな表情のヒロミを見た事が無いタケシにとっては最大の恐怖となり、さっきまで粋がっていた表情は消え去り、まるで怯えた子犬みたいになってしまった。
これらの様子を何が何だかわからないタイチロウであったが、自分の事でみんなが話をしている事は理解していた。
「なぁなぁ? 『ロミロミ』に『ケシケシ』に『タイタイ』に『その他大勢』の皆さん!! ここは仲良く十人で京都観光せぇへんか!? ここで出会ったのもなんかの縁やん!! なっ? コメコメ!?」
「ああ、そやな……」(ニコッ)
コメコメの笑顔にヒロミや他の女子達はメロメロになり、今直ぐにでも、コメコメと京都観光に行きたい衝動にかられている。
「ちょっ、ちょっと待て!? 『ケシケシ』って、もしかして俺の事かっ!?」
「ん? 他に誰がおるねん?」
タケシが不満そうな顔をしている横からタイチロウが不安そうな表情でヒトヤンに話しかけてきた。
「そ、それじゃぁ『タイタイ』ってのは、僕の事なのかな……?」
「ああ、そやで!! 『タイタイ』って呼ばれるの嫌か…?」
ヒトヤンが珍しく少し心配そうな顔をしながらタイチロウに問いかけると、太一郎はすぐさま、こう答えた。
「嫌なはず無いじゃないか!! 僕は今日、生まれて初めて『普通』の『あだ名』で呼ばれたんだよ!! まさかこんな日が来るなんて思ってもいなかったことだよ!! 君がどこの誰だかは知らないけどさ、凄く嬉しいよ!! 本当に、ありがとう!!」




