第25話 ポジティ部の限界
「ぼ、僕が『ポジティ部』を退部……?」
「ああ、そうや……」
一瞬静まり返ったその場が一気に白熱する。
「な、なんで太一郎が『ポジティ部』を辞めなくちゃいけなんだよ!? そりゃぁ太一郎の性格は全然、『ポジティ部』向きじゃ無いけどさ!! で、でもこの一年、太一郎はめちゃくちゃ頑張って、中学の頃とは比べ物にならないくらいに明るくなったぞ!!」
ケシケシが目を真っ赤にしながらヒトヤンに訴える。
「た、武志君……ありがとう……」
「お、お礼なんて言わないでくれ!! 俺は今の太一郎は『ポジティ部』に必要な存在だと思っているんだ!! そ、それなのに……」
「武志……? ヒ、ヒトヤンの話をちゃんと聞きましょうよ? ヒトヤンの事だから絶対何か理由があると思うわ……」
ロミロミがケシケシをなだめ、そして根津にいが、
「そうだね。ロミロミの言う通りだよ、ケシケシ!! ちゃんとタイタイが『ポジティ部』を辞めなくちゃいけない理由を聞こうぜ!?」
「あ、ああ……そうだな……ごめん、ヒトヤン……ちゃんと聞くから理由を話してくれ……?」
「さっき言うてた俺が創る新しい部活やけどな、その部活の名前は『ネガティ部』って言うねん」
「 「 「 「ね、ネガティ部~!!??」 」 」 」
「ハッハッハッハ!! 『ネガティ部』って……『ポジティ部』とは真逆の名前だな?」
「ハハハ、そうやなぁ、ゲキゲキ? でもこれは冗談とちゃうで。この一年間、こう見えても俺はちゃんと考えて『ネガティ部』を創る気になったんやからな……」
「そ、それで『ネガティ部』を創るのと太一郎が退部する事と、どう関係があるんだよ!?」
「大アリやで。俺は『ネガティ部』の部長をタイタイにやってもらいたいねん!! だから『ポジティ部』を退部して集中して頑張って欲しいんやわ~」
「えーっ!? ぼ、僕が『ネガティ部』の……ぶ、部長だって!?」
「そうや。部長や。どう考えても『ネガティ部』の部長はタイタイしかおらんと思うで」
「そ、それじゃぁヒトヤンは何をするんだい?」
「ああ、俺か? 俺は兼務で『ネガティ部副部長』をするわ!! 俺が創るんやからそれくらいの事はやらんとあかんやろ?」
ヒトヤンの話を聞いて全員、唖然としていたがロミロミがヒトヤンに質問をする。
「ところでさぁヒトヤン? 質問が二つあるんだけどいいかな?」
「ああ、ええで」
「あ、あのね? ヒトヤンが兼務で『副部長』をするのは良いとしても、さすがに『ポジティ部部長』と両方は大変じゃない?」
「ハハハ、まぁ、そうやけどな。でもそれはケシケシやロミロミに思いっきり頼ろうと思ってるで。それに一年生もおるし大丈夫やろ? 一応、トラトラ先輩も卒業まで顔を出してくれるって言うてくれてるしなぁ……」
「た、頼ってもらうのは良いんだけど……それともう一つ!! 何で『ネガティ部』を創ろうと思ったの? それもネーミングだけ聞いたら『ポジティ部』と真逆の部活を……」
「そうそう、俺もさっきからその事が気になっていたんだよ!! 何で『ネガティ部』なんだ!?」
ケシケシもヒトヤンに問いかける。
「まぁ、理由は色々とあるんやけどなぁ……簡単に言うと俺は学園内のネガティブな性格の奴等も俺みたいにとは言わんけど、今のタイタイみたいに元気で明るくなってもらいたいねん」
「でもさ、だから俺達、『ポジティ部』があるんだろ? だから名染伊理事長が真っ先にこの学園に『ポジティ部』を創部したって聞いているし、俺達はそういった奴等が元気になる為に色々と盛り上がる企画をしてきたじゃないか?」
「まぁ、そうやねんけどなぁ……でも俺は『ポジティ部』として限界を感じてきてたんやわぁ……」
「 「 「 「限界!?」 」 」 」
ヒトヤン以外の部員が同時に口にした。
「そうや、限界や……別に『ポジティ部』がアカンって訳やないで。『ポジティ部』としてネガティブな性格の人達を手助けするには限界があるって事やねん……」
ヒトヤンはそう言うと、その『限界』について語り始めるのだった。




