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第13話 久しぶり!

高校一年生編の始まりです。

 平成〇〇年四月


『私立名染伊太学園高等学校』に晴れて入学した丘志那一志は一人、校舎を見上げていた。


「しっかし、凄い立派な校舎やなぁ……。いくら位かかったんやろか??」


 さすがコテコテの大阪人の一志である。

 他の生徒達とは違う関心を持っていた。



「あ―――っ!? もしかして、ヒトヤンじゃないっ!?」


 一志はどこかで聞いた事があり、懐かしさも少し感じる声の主の方を振り向くとそこには『ロミロミ』こと『広見心ひろみこころ』が満面の笑顔で立っていた。


 そして『ロミロミ』のすぐ後ろに少し不機嫌そうな顔をした『ケシケシ』こと『大石武志』も立っている。


「おっ、お―――――――っ!! ロミロミにケシケシやないかぁっ!! めっちゃ久しぶりやなぁ!! 自分等もこの学園に入学してたんかいなぁ!?」


「そうなの。最初はこの学園に入学しようかどうか、とても悩んだけど『太一郎君』からヒトヤンもこの学園に入学するって聞いたから……。だってヒトヤンがいる学園って絶対面白いに決まってるもんね!?」


「え――――――っ!? そっかなぁ?? ロミロミ、思いっきり『ハードル』上げてへんか? 俺、めちゃくちゃプレッシャーやんか!!」


「何を言ってるのよヒトヤン!! 君がプレッシャーなんて全然感じない性格って知ってるんだからね!!」


「ハハハ……バレてたか……」


「あったり前よ~っ!!」


 そしてヒトヤンはロミロミの胸元をじっと見つめてこう言った。


「ところでロミロミ? 去年よりも胸が大きくなったんちゃうか!?」


 ロミロミはヒトヤンに急に胸の事を言われて顔が真っ赤になったが直ぐに言い返す。


「にゅ、入学早々、君は何を言ってるのよ!? ホントどこ見てるのよ!? ま、まぁ、去年に比べれば少し大きくなったのはなったけど……ブツブツブツ……」


「まぁそんな事はどうでもいいんやけどな……」


「どっ、どうでもいいのかよっ!? あっ、しまった!!」


 ロミロミの後ろにいたケシケシが『突っ込み』を我慢できず言ってしまい、悔しそうな顔をしている。


「ハッハッハッハ!! 引っかかったなケシケシ!! お前さっきから全然俺に話しかけてくれへんし、久しぶりにケシケシの突っ込みを味わいたかったから、別に興味の無いロミロミの『胸ネタ』を利用してみたんやわ!! ハッハッハッハ!! 引っかかった引っかかった~っ!!」


「ちっ、ちきしょう……ひ、久しぶりだな、ヒトヤン……」


「おう、久しぶり~ケシケシ!! これから三年間、今みたいな鋭い『突っ込み』を期待してるで~っ!!」


「きっ、期待すんじゃねぇよっ!!」


「それもグー!!」


 ハァ―――――――ッ


 ケシケシは呆れた顔をし、これから始まる三年間を想像しながらため息をつくのであった。


「ヒ、ヒトヤン……」


 ヒトヤンの背中の方から先ほどまでとは違う冷たい…いや狂気に満ちたロミロミの声がしてきた。


「へっ? どないしたん、ロミロミ?」


「私の胸、全然興味が無いってどういう事なのかな……?? それに『胸ネタ』って……」


 ロミロミが鬼の形相でヒトヤンに近づいてくる。


 危険を察知したヒトヤンはロミロミにすかさずこう言った。


「ロッ、ロミロミ!! コ、コメコメがロミロミにめちゃくちゃ会いたがってたで!! そんで夏休みにはこっちに遊びにくるから、皆で『ランド』でも行こうやっ!! なっ!?」


 ヒトヤンのその言葉を聞いたロミロミは鬼の形相から一変して天使の様な表情になり頬を少し赤らめながら……


「えっ!? あの超イケメンのコメコメ君が私にめちゃくちゃ会いたがってるですって!? そっ、そうなのぉ? フフフ、へぇ、そうなのぉ? へぇー……」


 ロミロミは身体をクネクネさせながら、とても嬉しそうに言い、さっきまでの鬼の形相はどこかへ行ってしまったようである。


 それを見たヒトヤンとケシケシはロミロミに見えない様に声を出さずに笑うのであった。

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