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もはや更新は無いと思っていたでしょう?私もそう思っていました
好き…嫌い…好き…嫌い…好き…嫌い…
女の声だろうか。小さいが、確かに声が聴こえる。
女は片手に綺麗な花を持ち、もう片方の手で花弁を千切っていた。俗に言う花占いである。誰を占っているのだろうか。
好き…嫌い…好き…嫌い…
連続するリズム、それは恋の詩。そして遂に最後の花びらが宙を舞った…
と思われたその時、突如後ろから何者かが優し気に花を掻っ攫った。女が後ろを向くと、そこにはやわらかい笑顔を携えた男が立っていた。
「まったく、僕の気持ちを勝手に推し量るのはやめてくれよ」
「いいえ、貴方ったら最近素っ気ないんだもん。お花にだって聞きたくなっちゃうでしょう?」
女は少し寂しげに笑った。
それを見た男は少し申し訳なさそうな表情をしてこう言った。
「…本当は、君をびっくりさせてあげたかったんだ。寂しい思いをさせて申し訳なかったよ」
男はそのまま片膝をつき、手を女に向けて差し出した。その手の中には…
女は涙を流す。しかし、それはそれはうれしそうだ。
「僕と、結婚してください」
「はい、喜んで。不束者ですがこれからもよろしくお願いします」
…残った花弁が『好き』だったのか『嫌い』だったのか。それは誰にも分からない。だが、それでいいのかもしれない。もはや女に花占いは必要ないのだから…