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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第六章「異能決戦」
64/67

6−17

「……えっ?」

 キリエは状況が飲み込めず、呆けてしまう。

「お、お、お、お……!」

 マリアを串刺したポロニアスは、言葉にならない声を上げていた。

「キリエくん、油断したな。だが、間に合って良かった」

 串刺しにされたマリアが言う。

 言いながら、ごふっと血を吐いた。

「マリアっ」

 キリエが駆け寄ろうとするのを、マリアが視線で制した。

 キリエは目の前の現実を直視できず、言葉を失っていた。

「大丈夫、私は大丈夫だ。だから、此奴にトドメを刺してやってくれ」

 マリアは胸から生える手を自身の手で押さえつけていた。

 ポロニアスは呻き声を上げながら、手を引き抜かんともがいていた。

「大丈夫。あとは雷撃を一発叩き込んでやるだけで終わる。きっとそれで、こいつに引導を渡してやれる。こいつはもう、他の幻魔生物同様、自分を失っている。だから、ここで終わらせてやってくれ。頼む」

 マリアが懇願するように言った。

 キリエは逡巡した。

 このまま放てば、マリアも無事ではすまないからだ。

「何度でも言う。私は大丈夫だ。さあ、やれ!」

「ああああああああああ!」

 キリエは叫び声を上げながら雷撃を放った。

 雷撃はマリアとポロニアスを覆い、両者に致命的なダメージを与えた。

「マリア! ……マリア!」

 キリエがマリアの元へと歩み寄る。

 マリアは横たわり、胸から血を垂れ流していた。

 胸を貫いた手は焼け焦げ、黒ずんでいた。

 キリエはまずポロニアスの手を引っこ抜く。

 そして、マリアを抱えて、ポロニアスと距離を取った。

 マリアを横たえたキリエは、手を翳して、治癒を試みんとした。

「確かこうして……、ああ、違う! ……これも違う! もう、なんでうまくいかないのよ!」

 だが、慣れない治癒異能にキリエは苦戦した。

 元々異能に頼らず戦うことしか学んできていなかったキリエに、いきなりの治癒異能は難易度が高かった。

「誰か……、誰か……」

 キリエが泣きそうになりながら呟く。

 ふと、その肩に、手が置かれた。

「大丈夫、キリエちゃん、僕がやる」

 手の主はリオだった。

「リオ、生きて……!」

 キリエが歓喜の声を上げると、リオはにっこりとキリエに微笑みかけた。

「うん、何とかね。負傷がひどかったから治癒に時間がかかったけど。ほら、彼らも無事だよ」

 リオが指差す方に視線を送ると、赤林にジン、あんながこちらに歩み寄る姿が見えた。

「みんな……!」

 キリエは全員が無事だったことに喜びを禁じ得なかった。

「とにかくマリアを治癒しないと」

 だが、事は一刻を争う状態なのに変わりはなかった。

 リオがキリエと場所を変わって治癒異能をかけ始めるが、未だにマリアの血は止まらず流れていた。

「お、お、お、お……」

 そのさなか、また再びの不穏な呻き声が聞こえる。

 音の出所に目を遣ると、ポロニアスが再び動かんと身をよじっていた。

「こいつ……、まだ……!」

 キリエが立ち上がって身構える。

 だが、ポロニアスは身をよじるだけで、立ち上がることすらできないようだった。

 キリエはポロニアスへと歩み寄り、見下ろした。

 ポロニアスは苦悶の声を出しながら、身をよじり続けていた。

「いい加減眠りなさい、永遠に……!」

 キリエが短剣を突き立て、雷撃を放つ。

 ポロニアスは一瞬跳ねるような動きを見せたが、内部から身体を焼かれ、身体が黒ずみ始める。

 そして、そのまま身体は灰となり、塵となって消えていった。

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