6−15
「どうなっているの……?」
キリエは呟いた。
胸にぽっかりと穴の空いたナナが、こちらに歩み寄ってきていた。
「なんでだ……。なんでその身体でそんな力が出せる……!」
ポロニアスが叫んだ。
ナナに向かって、力の限り叫んだ。
「それはだって、この子は私の器だもの」
ナナがその叫びに応えた。
だが、キリエは違和感を覚えた。
話しているのはナナだが、口調や雰囲気が明らかにナナではない。
「でも、あなたの相手は私ではないわ。ねえ、キリエさん?」
急に、ナナが声をかけてきた。
「え? あ、え? 私?」
キリエは突然のことに戸惑った。
「そう、あなたよ。ポロニアスを倒すのは、あなた」
ナナがにっこりと微笑む。
そして、ポロニアスを飛び越え、こちら側に着地した。
「ナナ? いいですね?」
「はい!」
ナナが一人で尋ね、一人で応える。
次の瞬間、ナナが光に包まれた。
「キリエさん、色々と本当にありがとうございました!」
ナナがこちらに振り返り、頭を下げる。
そして、顔を上げたナナは、満面の笑みをたたえていた。
次の瞬間には、ナナの姿が消え、光だけが残される。
その光はキリエの短剣を包み込み、短剣が眩く輝き始めた。
『さあ、キリエさん、最後の戦いですよ』
脳内に、声が響いた。
その声はナナのものでありながら、ナナのものでなかった。




