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怒りを露わにしたポロニアスがこちらに向かってくる。
そして、自分の胸元に左腕を突き刺した。
だが、ナナは何とも感じなかった。
確かにポロニアスの腕は自分を貫いているのに、恐怖は疎か、痛みすら感じなかった。
「その程度の攻撃が私に通用するとでも?」
自分の意を介さず、口が開く。
明らかに自分ではない何者かが、自分の口を使って話していた。
「お前……、まさか……!」
ポロニアスが怖じ気づいたように手を抜いて後ずさる。
ナナはぽっかりと空いた胸元を一瞥すると、ポロニアスに向き直った。
「ガヴラウル……!」
ポロニアスが名前を呼ぶ。
ナナの肉体に向かって、ナナのものではない名前を。
「久しぶりですね、ポロニアス」
再び自分の口を何者かが使う。
だが、不快感はなかった。
むしろ、どこか懐かしいものを感じた。
「武器に力を与えているだけかと思っていたが、本体がいるとはな」
ポロニアスが言った。
「だが、その身体は不便だろう? 何せ、あまりにも弱……」
「そうかしら?」
気がついたときには、自分の身体がポロニアスとの距離を詰めていた。
そして、そのままポロニアスへと掌底を放った。
「がっ……!」
ポロニアスが呻き声を上げながら吹っ飛んだ。
ナナの身体はその攻撃を放つと、再びゆっくりとポロニアスに向かって歩いた。




