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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
プロローグ「それぞれのはじまり」
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0−6

「どうでしたか、今年の新入生は?」

 暗がりから声がかけられ、男は立ち止まった。

「……別に、いつもと変わらねえよ」

 そう答えながら、男はサングラスの位置を整えた。

 背中に冷や汗が滲んでいるのを自覚していた。

「我が学園始まって以来の秀才と呼ばれる、現会長が怯えるほどの逸材がいましたか。それは楽しみですね」

 クツクツと笑う声が聞こえる。

 男は嘲笑とも取れるその声に、舌打ちをした。

「用は済んだか? もう行くぞ」

 男は一歩踏み出そうとした。

「ああ、それともう一つ……」

 暗がりに姿を紛らせていた青年は、ようやく視認できる位置まで移動してきた。

 そして、顎に手を当てながら、真剣な眼差しで男を見つめ、尋ねかけた。

「君は何故、人前に出るときだけはそんな格好をするのですか?」

 男は質問に答えることなく、黙ってその場を後にした。

 その後ろ姿を眺める青年は、再びクツクツと笑っていた。

『以上を持ちまして、本年度の入学式を終了します。一同、誘導に従って退場してください』

「……あれ、私の挨拶は、なしですか?」

 ひとしきり笑った青年が壇上に向かおうとしたところで、式の終了が告げられた。

 青年は、その場に立ち尽くすしかなかった。

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