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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第六章「異能決戦」
58/67

6−11

「こいつがいなきゃ、なんもできねえだろ?」

 串刺しにされたリオは地に倒れ込む。

 その周囲に、ジワジワと血が広がっていく。

「よくも……、よくもリオを……!」

 キリエが怒りを爆発させる。

 すぐさま二本の短剣を創出し、それに雷を纏わせて構えた。

「良いねえ。お前には無防備な本体をいたぶられた分、たーっぷりとお返しをしなきゃだからなあ」

 対して、ポロニアスは口許を歪ませた。

「絶対に許さない。絶対にあんたは許さないっ」

(でも、このまま戦ったら横たわってる二人を巻き込んじゃう。何とか引き離さないと……!)

 感情は爆発しながらも、キリエは冷静だった。

 まずは戦場を移すことが先決と判断したキリエは、短剣をそのままポロニアスに向け、雷撃を放った。

「おっと……」

 ポロニアスは横に飛び、難なくキリエの短剣から放たれた雷撃を躱す。

 だが、避けられることは気にとめず、キリエは再び雷撃を放った。

 うまく角度を調整し、ポロニアスが避けるであろう方向を計算して、何度も雷撃を放った。

「なんのお遊びかな、これは」

 ポロニアスが言う。

「何言ってるの、もう戦闘は始まってるわ……よっ!」

 標的が目標の座標に辿りつくと同時に、キリエは一直線にポロニアスに向けて駆け出した。

 ポロニアスは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに残虐的な笑みを浮かべ、その手を大きく振りかぶった。

 キリエの二本の短剣とポロニアスのかぎ爪が衝突する。

 あまりの衝撃に、二人の周囲に粉塵が上がった。

「おやあ、さっきと何か違うな、君?」

 ポロニアスが尋ねる。

 だが、キリエは応える必要はないと態度で示し、次なる斬撃を繰り出していた。

「ぐっ」

 ポロニアスが、攻撃を捌きながらも、一歩、二歩と後退する。

 キリエはここぞとばかりに、雷を纏わせた斬撃を放ち続けた。

 幾度に渡る斬撃を捌いていたポロニアスが、ふと姿勢を崩す。

(今だ……!)

 その隙を逃すまいと、キリエは滑り込むようにポロニアスの脇に入り込む。

 勢いもそのままに、両の短剣で全力の一撃を放った。

「ぐっ……」

 ポロニアスが声を漏らす。

 キリエは勢いのままにポロニアスの脇を通り抜け、背面へと回っていた。

 だが、そこで見た光景に、硬直してしまう。

 ポロニアスにつけたはずの傷が、みるみるうちに塞がっていった。

「ふぅ」

 ポロニアスが軽く肩を回す。

 そして振り返り、キリエを睨んだ。

「やってくれる」

 ポロニアスは首を鳴らしながら、キリエに近づいてきた。

 キリエは我を取り戻し、短剣を構えた。

(どうなってるの? 傷が一瞬の内に?)

 ポロニアスと対峙しながら、今の現象を整理する。

 だが、原理が全くわからなかった。

 キリエの攻撃は確実に届いていた。

 それなのに、ポロニアスは全くダメージを受けていない。

「さあ、つづきをやろうか」

 ポロニアスが走り寄ってくる。

 キリエは思考を止め、とにかく攻撃を加えることに専念した。

 先とは逆に、ポロニアスが次々と繰り出すのを、キリエが捌いていた。

 ポロニアスは相変わらず、どこか楽しげだった。

(どうする? どう攻撃すれば良い?)

 キリエは考える。

 攻撃を捌きながら、次はどんな攻撃をすれば良いのかを考える。

(そうだ、アレなら……!)

 ふと、キリエはある手段を思い出した。

 それしかないと判断したキリエは、攻撃を受け流しながら隙を伺う。

(今だ!)

 一瞬の隙をつき、キリエがポロニアスの背後へと回り、その短剣を背中に突き立てた。

 そのまま、短剣を通して雷撃を内部に送り込む。

「ぐがっ」

 すると、ポロニアスが痙攣するように震え、片膝をついた。

 キリエは深追いは禁物と、即座に場を離れる。

 そして、短剣を構えながら、ポロニアスの様子を窺った。

「やってくれる……、やってくれるねえ……!」

 追い込まれているはずなのに、どこか楽しげなポロニアスの声が響く。

 背中に短剣を突き刺しつけたはずの傷は、やはり即座に塞がっていった。

 キリエは奇妙さも感じながらも、ポロニアスを睨み続けた。

 ポロニアスはゆっくりと振り返ると、大手を広げて尋ねてきた。

「惜しい。その力、実に惜しい。ここで失わせてしまうには、勿体なさすぎる。もう一度問おう。ぼくの配下に加わる気はないか?」

「何度言われても同じよ。お断りだわ」

 キリエが短剣を強く握りしめながら返す。

 ポロニアスは首を横に振り、至極残念といった表情を浮かべた。

「本当に残念だ。では、やはり死んでくれ」

 ポロニアスは言い終えると、片手を翳す。

 その先に、大きな水の塊が現出する。

 その塊はみるみる大きくなり、バスケットボール大にまで膨れる。

 ポロニアスがふんと力を入れると、その球体が噴出され、キリエへと向かった。

 あまりの速度のためか、球体は楕円状に伸びていた。

(ダメ、間に合わない……!)

 回避は間に合わないと判断したキリエは、短剣を使って受け流すことを決める。

 だが、身体を逸らしながら球体を短剣で滑らさんとすると、短剣が触れた瞬間に球体がはじけた。

 そして、球体を中心とした全方向に細かな水の弾丸が弾け飛ぶ。

 キリエは驚くばかりで何も対処することができず、全身に水の弾丸を受けた。

「かっ……あ……」

 キリエから苦悶の声が漏れる。

 だが、ポロニアスは再び手をキリエに向けて翳していた。

「さようなら♪」

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