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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第六章「異能決戦」
52/67

6−5

「う……、ん……」

『良かった。目を覚ましたんだね、キリエちゃん』

 リオの優しげな声が響く。

 キリエはゆっくりと目を開け、身体を起こした。

「私……は……、そうだ、ポロニアス……!」

 そう言うと、キリエは慌てて周囲を見渡した。

 そして、異様な光景を目撃することになる。

 何故か、赤林たちとナナが対峙していた。

 仲間であるはずの彼らが、向き合って睨み合っていた。

「えっ、どういうこと? どうなってるの……?」

 キリエが疑問を呟く。

 何がどうしたらこうなるのか、皆目見当もつかなかった。

『わからない。ただ、たぶんだけど、ナナくんの身体が乗っ取られたんだと思う。さっき、ポロニアスの身体から、蒸気のようなものが噴出したんだ。それに包まれたナナくんが、急に敵に回った。距離があるから会話は聞こえないけど、おそらくは間違いない』

 リオの張り詰めた声が聞こえる。

 キリエは状況を理解はしたが、どうしたら良いのかわからなかった。

『動かずに聞け、お前ら』

 すると突然、マリアの声が脳内に響いた。

 キリエたちは一瞬身体を強張らせたが、すぐに落ち着きを取り戻し、声に意識を傾けた。

『向こうまで思念を飛ばすとポロニアスに気づかれる。だから、お前たちにだけ伝える』

 マリアは言葉を続ける。

『今は、ナナの身体にポロニアスの奴が入り込んでいる。赤林たちはそれに気を取られてナナと対峙しているが、本体は少年の身体の方だ。あちらに攻撃を加えれば、ポロニアスだけにダメージが通る』

 マリアは更に続けた。

『だが、あいつらに直接このことを伝える術がない。だから、キリエくん、君にこれを授ける。これを使って、あいつの本体を叩け』

 マリアの言葉の直後に、キリエの左手を何かが覆う。

 チラと左手を見遣ると、そこにはラピスラズリの填まった籠手が装着されていた。

 瞬間に、身体の底から何かの力が渦巻いてくるのを感じた。

『やっぱり、先生は気づいていたんですね』

 リオの声が響く。

『まあな。キリエくんは異能の才がないと嘆いていたが、決して才がないわけではない。才がなければ、この学園にいることなんてできないのだから。キリエくんは異能の才がないのではなく、命の力が大きすぎるんだ。だから、アクアマリンでは表面をなぞることしかできず、うまく引き出しきれなかった。だが、ラピスラズリの力を使えば、そのキリエくんの力もきっと引き出せる。アクアマリンだけでは引き出しきれなかったその力を、ラピスラズリなら引き出してくれるはずだ。ラピスラズリで力を引き出し、アクアマリンでコントロールする。それができれば、人並み以上に、異能を扱えるはずだよ。まあ、もう少し鍛錬を積ませてやってから渡したかったのが本音だがな』

 マリアが答えた。

『とにかく、それを使えば、キリエくんも異能が使えるはずだ。自分でもそんな気がしているだろう?』

 思念を飛ばせないキリエは首肯する。

 マリアはフフと笑うと、

『なら大丈夫だ。さあ、行ってこい』

 と言った。

 そこで、マリアの言葉は聞こえなくなった。

 キリエは目標物を見据え、気合いを入れた。

『キリエちゃん、ぼくが風で音を遮断し、気配を消す。それに乗じて本体に近づいて、本体に全力の一撃を叩き込んで』

 キリエが頷くと、リオがその肩に乗ってきた。

 同時に、キリエの周囲に風が舞った。

『さあ、行くよ』

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