6−4
「ぐっ……!」
ポロニアスがナナの攻撃を受け、落下を開始する。
落下地点では、赤林がトドメを刺さんと剣を握り、待ち構えていた。
「ちっ、仕方ねえか」
落下しながらポロニアスが呟く。
すると、ポロニアスの身体から蒸気のようなものが吹き出した。
その蒸気は、ポロニアスの身体を離れると、一直線にナナへと駆ける。
空中で為す術もないナナは、瞬く間に蒸気に包まれ、姿が見えなくなった。
「なんだ……?」
驚いた赤林とジンは、そのまま呆けてしまう。
ポロニアスの身体は地面に落下し、そのまま動かなくなっていた。
「あ、ああ……、ああああ……!」
蒸気に包まれたナナから呻き声が聞こえる。
その瞬間、赤林は我に返り、大きな声で叫んだ。
「あんな! あの蒸気を吹き飛ばせ!」
同じく少し離れた場所で呆けて状況を見ていたあんなは、赤林の叫びで我を取り戻す。
そして、弓を創出して、光の矢を番った。
目一杯引かれた弦から光の矢が弾かれ、蒸気に包まれるナナへと向かう。
ナナの目前で、その蒸気だけ吹き飛ばさんとして、光の矢は複数に割れた。
「ざーんねん、ちょっと遅い♪」
だが、光の矢が手刀に一閃され、消滅する。
そして、蒸気が消えていき、ナナが姿を現した。
ナナはゆっくりと赤林たちから数歩の距離に降り立った。
そして、邪悪な笑みをたたえた。
明らかにその表情はナナのそれではなかった。
「てめえは、誰だ?」
赤林が尋ねる。
「いやだなあ、ほら……、あれ、誰だっけ、こいつ? まあ、いいや」
ナナはまともには答えなかった。
だが、赤林は今のやり取りで確信した。
「てめえ、ポロニアスだな」
赤林が再度尋ねる。
ナナは、にやりと笑って、今度こそしっかり答えた。
「ぴんぽーん、大正解でーす」
自身をポロニアスだと認めたナナは、おちゃらけるように言った。
赤林とジンが戦闘態勢を取り、ナナと対峙する。
「あれ、あれあれ? やっちゃう? やっちゃうつもり?」
ポロニアスは尚も巫山戯たように振る舞う。
赤林は剣を握り締めながら、様子を伺っていた。
「言っておくけど、もちろんこの身体を傷つけたら、ナナだっけ? 彼女が傷つくからそのつもりで」
ポロニアスは少し声のトーンを落として言った。
赤林はギリと歯を噛みしめた。




