5−13
「今だ! 畳みかけるぞ!」
会長の声が響く。
あんなとリオの攻撃に心を奪われて放心していたキリエたちは、その声で我に返り、地に落ちたアポカリプスへと駆け寄った。
「せやああああ」
キリエが二つの短剣で切りつける。
「どりゃあああ」
赤林がその剣を振り下ろし、二度と空へは逃げさせんと翼を切りつける。
「……!」
ジンが無言ながらも赤林同様に逆の翼を攻撃する。
「てやーっ」
そして、ナナが脳天に向かって、その大太刀をたたき落とした。
──グガアアアアアア。
アポカリプスが断末魔の叫びを上げる。
そして、尻尾から順に、身体が何かの欠片へと変わり、消滅していく。
「やった……?」
キリエが未だ信じられないと言った様子でその光景を眺める。
「ああ、俺たちの勝ちだ……!」
赤林がキリエの言葉を肯定する。
ようやく、全員に勝利の実感が湧き、歓声を上げた。
「お見事、お見事です」
ふいに、声が聞こえる。
全員が声の出所へと視線を向けた。
そこには拍手をするアルスの姿があった。
その肩には、小さな龍が乗っていた。
「まさに見事と言うほかない。皆さんはあのアポカリプスを倒しました。とても素晴らしい成果です」
アルスが続ける。
だが、その賞賛は、嫌悪感にしか与えなかった。
「ふざけんじゃないわよっ! あんた、私たちのことなんだと思ってるのよ」
キリエが憤りを口にする。
他の学生も、完全に同意と言った様子を、態度で示していた。
「言ったはずですよ? これは皆さんのレベルアップに必要なことだったのです。そうでなければ、ポロニアスは倒せない……」
アルスの顔に暗いものが滲む。
だが、すぐにいつものいけ好かない笑顔を浮かべ、話を続けた。
「さあ、いよいよ決戦のときです! 彼の地を向かい、ポロニアスを──」
「見ぃつけた♪」
だが、アルスの言葉は途中で遮られた。
その胸元には真っ赤に染まった手刀が生えており、周囲には血が滲み始めていた。




