5−11
「どうして……、どうして出せないのっ……!」
ナナの悲痛な叫びが響く。
既に、学生たちとアポカリプスとの戦闘は始まっていた。
全員がアポカリプスの元へ駆けていく中、ナナだけは武器を出すことすらできず、地面と睨めっこをしていた。
「出てよっ、お願いっ」
ナナの叫びは続く。
だが、どんなに強く押しつけても、ナナの手は地にめり込むことがなかった。
何度やっても、どれだけ力を込めても、地面はウンともスンとも言わなかった。
「苦労しているようですね、ナナ」
突然、横から声が聞こえた。
ナナが驚いて顔を上げると、そこには姿を眩ましていたアルスがいた。
「父さん!」
ナナが嬉しそうに叫ぶ。
アルスはナナの頭を愛おしそうに撫でた。
「ナナ、戦いたいですか?」
アルスが尋ねる。
その問いに、ナナは間髪入れずに答えた。
「戦いたい……、みんなと一緒に戦いたい……!」
ナナの言葉には力が籠もっていた。
仲間たちと共に戦う決意が滲んでいた。
「……よろしい。では、封印を解いてあげましょう。でも、これだけは忘れないでくださいね。力を解放するということは──」
アルスがナナのおでこへと人差し指を当てながら言った。
次の瞬間、ナナの身体に何かが駆け巡った。
その衝撃で、ナナの身体がビクンと震える。
そして、ナナの心に確信が生まれた。
今なら、アレを出せる、という確信が。
ナナが手を地に着き、何かをつぶやく。
自分でも意識していない間に、呪文のようなものを唱える。
すると、ナナの手が地にめり込んだ。
そして、引き出したときには、その手には大太刀が握られていた。
「やった! やったよ、父さ……ん……?」
ナナが喜びを報告しようとした相手はいなかった。
辺りを見回しても、どこにもその姿はなかった。
「……父さん、がんばるね!」
ナナは誰に言うでもなくつぶやいた。
そして、一目散にアポカリプスの元へと駆けた。




