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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第五章「異能実践」
44/67

5−10

「マリア!」

 キリエが倒れたマリアに走り寄る。

 他の学生たちもそれに倣い、マリアの元へと駆け寄った。

 キリエがマリアを抱きかかえて仰向けにする。

 何とか、マリアは無事なようだった。

 そのことで、全員がホッと胸をなで下ろした。

「はあ……、はあ……」

 マリアが荒い息づかいが聞こえる。

 キリエたちは心配そうにマリアを覗き込んでいたが、しばらくして、マリアは自力で身体を起こした。

「すま……んな……、少し……、力を使いすぎた……。だが……、参考には……、なったかな……?」

 マリアは、言葉は途切れ途切れながらも、その顔には笑みを作っていた。

 だが、その笑みはどこか歪で、今のマリアが正常ではないことを物語っていた。

「すごかった……、すごかったわ、マリア……」

 キリエがつぶやくように感想を言う。

 マリアは再び歪に笑うと、ふうと一息吐いた。

「それは……、よかった……。私の講義は……、ここまでだ……。あとは君たちに任せよう……」

 そう言うと、マリアはよろよろと立ち上がった。

「マリア、無理をしちゃ……」

「大丈夫だ」

 とても大丈夫そうには見えない足取りで、マリアが歩く。

 そして、よろよろと近くの木陰へと歩いていった。

 木陰にたどり着き、木の幹に背中を預ける。

 そのまま、ずるずると座り込み、動かなくなった。

「……やるわよ」

 キリエがマリアから視線を外し、アポカリプスを睨みながら言った。

 全員が首肯し、武器を構えた。


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