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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第五章「異能実践」
41/67

5−7

 ナナの言葉に反応するかのように、一人の男が姿を現す。

 何の音もなく、何の前触れもなく、突如として学生たちの前に顕現する。

「理事長、お前、何処に隠れてやがった……!」

 マリアが怒りを滲ませながら叫ぶ。

「いえいえ、ちょっとやることがありましてね」

 だが、理事長は意に介した様子もなく、にこにこと笑っていた。

「で、そのやることってのはなんだ?」

 諦めた様子の会長が疑問を投げかけた。

 理事長は口元に手を当て、何かを考えているような仕草をした。

「んー、そうですね……」

 理事長らしばらく考え込むような様子を見せる。

 そして、おもむろに口を開いた。

「強いて言うなら、皆さんのレベルアップでしょうか?」

 理事長の言葉に、その場にいる全員が頭に疑問符を浮かべる。

 だが、やはり理事長は意に介する様子なく、言葉を続けた。

「つまりはですね、皆さんに幻魔生物と戦ってもらって、実戦経験を積み、成長してもらいたかったのですよ」

「ちょっと待ってそれってつまり……」

 キリエが驚き戸惑いながら声を発する。

 それに答えるように、理事長は事もなげに言った。

「はい、この騒ぎの元凶……、幻魔生物を大量発生させたのは、私ですよ」

「ふ……」

 キリエが声を発する。

「ふ?」

 理事長がそれに反応する。

「ふざけんじゃないわよっ。こっちは死ぬような思いしたのよっ」

 キリエが叫んだ。

 だが、理事長はそれを一笑に付した。

「あはは。いえいえ、それぐらいでないと困ります。何せ今からさらなる死地に赴いてもらうんですから」

 その言葉に、全員に緊張が走る。

 次の瞬間、また再びの地が割れんばかりの振動が全員を襲った。

 同時に、大きな影が差し、日の光を奪った。

 全員が顔を上げ、そして、声を失った。

 理事長を除く、その場にいた全員が、あまりのことに硬直した。

「さあ、ここからが……、いえ、ここからこそが本番です! 全員の力を合わせて、彼を倒してくださいませ!」

 理事長は大きく手を広げた。

 その背後には、巨大な龍型の生命体が佇んでいた。

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