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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第四章「異能試験」
32/67

4−10

 ステージ中央で、キリエと木村が睨み合う。

 両者共に気合いは十分と言った様子だった。

「舐めていて悪かったな」

 ふと、木村が声をかける。

「はっきり言って、俺らはお前たちを舐めていた」

 木村は話を続けた。

 キリエは無言でその話を聞いていた。

「だが、もう、侮ったりはしない。お前たちは恐るべきに足る学生だ。全力でやらせてもらう」

 言い終えるや否や、木村は刀を創出して構えた。

「ふん。なんだっていいわ。勝つのは私たちなんだから」

 そして、キリエも二本の短剣を創出して構えた。

「両者、準備は良いですか?」

 キリエと木村の二人が同時に首肯する。

「それでは、はじめ!」

 そして、審判から開始が告げられた。

 開始の合図と共に、両者の姿が消える。

 刹那、ガキンと、何かがぶつかったような音が響いた。

 二人の姿を見失った観客たちが音の出所に目を遣ると、ステージ中央でキリエの短剣と木村の刀が交差していた。

 初っ端から二人は全力でぶつかっていた。

「やはり強いな」

 木村がつぶやく。

「それはどうも」

 対するキリエは返答するなり左に身体を回転させ、その勢いのまま斬りかかった。

 木村は事もなげにそれに対応する。

 ふたたびガキンと音が鳴り、二人の武器が合わさった。

 二度の攻撃を経た二人は、一度距離を取る。

 互いに睨み合い、次の機を伺っているようだった。

 少しの間を置いて、木村が先に動いた。

 一直線に、キリエに向かって走り出した。

 キリエは両の短剣を構え、木村から繰り出される攻撃を防ごうと構えた。

 だが、次の瞬間に驚いた顔をして、大きく飛び退いた。

 刹那、キリエがいた場所には、二振りの斬撃が襲いかかっていた。

 斬撃を放った木村は目を細めてキリエを見つめた。

「気づいたか」

 木村が尋ねる。

「ええ、ギリギリでね。危なかったわ」

 キリエは冷や汗をかきながら武器を構えていた。

 木村の両手には、一本ずつの刀が握られていた。

 右手と左手に、それぞれ別の刀を装備していた。

「ふむ、割と秘策だったんだがな」

 木村がぼやくように言った。

 キリエは焦りの色を濃くしながらも、それに対する言葉を絞り出した。

「私も、短剣とはいえ、二刀流だったからこそかもね。無意識に、相手が二刀流の可能性もあると、どこかで思っていたのかも」

「なるほど」

 得心すると、木村が対の剣を構える。

「では、ここからが本番ということで」

 そして、キリエに向かって物凄い速度で詰め寄った。

 観客の目に移らないほどの速さで移動した木村は、そこから息をつく間もないほどの連撃を繰り出した。

「くっ」

 キリエは後ずさりしながらも何とか攻撃をさばく。

 だが、辛うじて防ぐのがやっとと言った様子で、防戦一方だった。

「なんだ、この程度か。買い被りすぎたか?」

 木村がまたもやぼやくように言った。

 キリエはギリと歯をかみしめ、

「舐めんじゃないわよっ」

 と叫んだ。

 次の瞬間、キリエが木村の視界から消える。

 そして、その次の瞬間には、木村を背後からの鈍痛が襲った。

「くっ」

 木村が苦痛に顔を歪める。

 背中には、二本の短剣が突き刺さっていた。

 大きく上に飛び、そのまま木村を飛び越え、身体を回転させて短剣を突き刺すキリエの姿がそこにはあった。

 短剣を軸に逆立ちをするような状態だったキリエは、短剣から手を離し、木村の後方に着地する。

 そして、数歩距離を取って、拳を構えた。

「やってくれるな……」

 木村が後方へと振り返った。

 その表情には、如実に怒りの感情が滲んでいた。

 木村は全身に力を込める。

 すると、背中に突き刺さっていたいた短剣がゆっくりと抜け始めた。

「ぬんっ」

 掛け声と同時に、短剣が地に落ち、消滅する。

 木村は短剣が消えた箇所を一瞥するとキリエに向き直った。

「やはり侮れない。こうなったら、とっておきを見せてやる」

 木村はそう言うと、両の刀を交差させた。

 すると、突如として、刀身が燃え盛るような炎を纏った。

「なっ」

 キリエは驚いた。

 武器に現象を纏わせる異能は、とても高度な異能だったからだ。

 一介の学生にはできる芸当ではない。

 キリエは恐れ戦くように一歩後ずさった。

「終わりだ」

 だか、その瞬間に、横から声が聞こえた。

 いつの間にか、木村がキリエの側面に移動していた。

「しまっ……」

 慌てて両腕をクロスして防御姿勢を取る。

 木村から放たれた攻撃はキリエの籠手へと直撃した。

 刹那、ピキッという小気味の良い音がする。

 そして、キリエの籠手に填められたアクアマリンが、粉々に砕けた。

「そこまで! 勝者、S組木村!」


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