表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第四章「異能試験」
28/67

4−6

 真田が物凄い勢いでジンに斬撃を放った。

 だが、ジンは微動だにすることなく、それを片腕で受け止めた。

「や、やるじゃないか……」

 先手必勝と思い放った渾身の一撃を防がれ、真田は後ずさりした。

「それなら、これでどうだ!」

 そして、今度は剣を横向きに薙いだ。

 だが、またもや微動だにしないジンに攻撃を弾かれる。

 真田は薄ら寒い物を覚え、数歩飛び退いた。

「なんなんだよ……、お前……」

 一切攻撃が通らないジンに怖じ気づきながら真田が訪ねる。

 しかし、やはりジンは何も答えなかった。

「くそ……、くそ……、くそ……!」

 恐怖に心が支配されかけた真田は、がむしゃらに攻撃を放ち続けた。

 だが、ジンは一歩もその場を動くことなく、腕だけで全ての攻撃を裁いた。

「なんなんだよ……、なんなんだよ……! お前はW組じゃないのかよっ!」

 どこにぶつければいいのかわからない感情を、真田は剣に乗せ続けた。

 しばらく真田の攻撃が続いたが、ふいに、ジンが真田の剣を掴み、動きを静止させた。

「なっ……!」

 次の瞬間、剣の掴んでいない方の手で、ジンは掌底を放った。

 鳩尾に無防備に攻撃を受けた真田は、そのまま後方に吹っ飛んだ。

「かはっ」

 そして、そのまま地に横たわり、動けなくなる。

「そこまで! 勝者、W組青野!」

 次の瞬間、審判から勝敗が告げられた。

 ジンは無言で一礼すると踵を返し、仲間の元へと向かった。

「どうなってるんだよ」

「廃棄物組じゃねえのかよ、相手はS組だぞ……」

「さっきの戦いと言い、どこが廃棄物なんだよ」

 場内がどよめいていた。

 先の戦いと言い、予想外の展開を見せる試合に、全員が全員戸惑っているようだった。

「すまねえ、負けちまった……」

 赤林に肩を借りながら戻ってきた真田が仲間に詫びる。

 体だけでなく、心も打ちのめされたようで、言葉に力がなかった。

 あまりのことに、S組代表のメンバーたちも、動揺を隠せなかった。

 何せ、あまりにも一方的な戦いだったからだ。

 事前のミーティングで、赤林から、W組に強い学生がいるとは聞いていた。

 だが、それは初戦のリオだけの話だろうと、全員が思っていた。

 あの赤林と戦った、リオこそがW組の隠し球だと。

 あまりのことに動揺を続けるメンバーに、ただ一人、微塵の動揺も見せていなかった赤林が、声をかけた。

「落ち着こう、みんな。確かに、今の相手は強かった。だが、まだ試合に負けたわけじゃない」

「……そ、そうだよな。たまたま相手が悪かっただけだよな」

 一人の学生が赤林の話に首肯する。

「そ、そうよ、次から二戦勝てば、私たちの勝ちだわ」

 もう一人の女学生も、動揺を治め、拳を握る。

「ああ、そうだ……。一回負けたぐらい、どうってことはない!」

 そして、残りの一人も気を持ち直し、S組メンバーは落ち着きと活気を取り戻した。

 赤林はにっこりと笑うと、勝利に沸くW組を視線を送り、真剣な顔をした。

(今のを見て確信した。あいつらは、廃棄物なんかじゃない。おそらく、Wには別の意味がある)

 そして、脳内だけで言葉を発した。

(それに、主席の野郎も、その次の野郎も、動きが素人じゃない。明らかに実践慣れしてやがる)

 赤林は視線をW組から逸らし、仲間に戻した。

(おそらくは、次の奴も相当な手練れだろう。だが、勝つのは俺たちだ)

「第三戦、S組雪村、W組緑音、中央へ」

 審判の声が響く。

 赤林は笑顔を再び浮かべ、仲間たちに声援を送った。

「さあ、次の試合だ。勝ちに行くぞ」

 S組全員が大きな声でそれに応じ、代表と呼ばれた女学生、雪村が前へと歩み出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ