4−5
「勝者、S組赤林!」
審判のコールが鳴り響く。
倒れ臥す猫に攻撃を加えようと剣を振りかぶっていた赤林は、コールを聞くなり剣を納めた。
「……くそ猫め」
満身創痍な様子の赤林は、リオに背を向けてつぶやいた。
対するリオは、地に寝そべり、動かなくなっていた。
「本当の勝負はお預けだ。これで勝ったなんて思っちゃいねえ」
最後の攻防を始めんとしたところで苦痛に顔を歪め、その場に寝そべった猫に、赤林は捨てるように言った。
そして、チームの元へと歩きだした。
倒れていたリオはゆっくりと体を起こし、赤林だけに聞こえるように、声を飛ばした。
『そうだね、次はお互い、万全の状態で……』
赤林が一瞬だけ立ち止まった。
「ふん」
だが、鼻で笑うと、歩みを再開した。
「リオ!」
心配そうな様子でキリエが走り寄ってきた。
その後ろには、ナナたちも続いていた。
『ごめんね、負けちゃった』
申し訳なさそうなリオの声が届く。
キリエは首を横に振り、
「仕方ないわ、リオはよくやったわよ」
と慰めた。
ナナたちも、うんうんと首を縦に振っていた。
『はは、ありがとう。やっぱり彼は強かったよ。でも、まだ勝負は終わっちゃいない』
「ええ、そうよ、まだ負けたわけじゃないわ」
全員の視線がジンに集まる。
ジンは力強く頷くと、胸を叩いた。
『任せたよ、ジン』
キリエに抱えられた猫がゆったりと前足を上げる。
ジンはそこに軽く拳を突き合わせ、無言で任せろと伝えた。
「続きまして、第二戦を行います。S組真田、W組青野。両者中央へ」
審判の声が次なる試合の選手を告げる。
その声に応じて、ジンは無言で中央へと歩み出た。
キリエたちはステージ外へと退避する。
相手方から歩いてきた少年が、ジンと対峙し、次の戦いが始まろうとしていた。
「悪いな、W組。この勝負、俺たちの勝ちだ!」
真田と呼ばれた学生がジンを指差しながら、威勢良く言った。
ジンは何をするでもなく、無言で拳を構えた。
「ちっ、無視かよ……。まあ、良い。これで、俺たちの二勝だ!」
真田も剣を創出し、構えた。
「両者、準備は良いですか? ……それでは、第二戦、はじめ!」
審判が開始を告げるなり、真田はジンに突進し始めた。




