4−4
リオの突き出した前足の先から、一陣の風が巻き起こる。
その風は一目散に赤林の元へと駆け抜けた。
赤林が風を防ぐように剣を縦に構える。
「くっ」
だが、風の刃は剣と接触した瞬間に二つに割れ、赤林の両腕に襲いかかった。
風の刃を受けた両腕にうっすらと血が滲む。
赤林はギリと歯をかみしめ、リオを睨んだ。
『なんだい? 大口を叩いといてその程度なのかい?』
リオの声が赤林の耳元に届く。
赤林はニヤリと不敵な笑みを浮かべてつぶやいた。
「舐めるな」
言い終えるや否や、赤林の剣が虚空を切った。
刹那、突き出していたリオの前足から血が噴き出した。
リオは驚いて後ろに飛び退く。
そして、観察するかのように相手を睨んだ。
「てめえこそ、その程度か? だったら、拍子抜けにもほどがある。本気を出せ、話はそれからだ」
赤林は剣を肩にかけながら見下すように言った。
『なるほど……、これは一筋縄じゃ行かなそうだ』
対してリオは、猫の目をぎらつかせ、負傷したのと逆の脚で宙一薙ぎした。
すると、一本の杖がリオの前に出現した。
その杖からは、尋常じゃない異能の力が漏れ出ていた。
『後悔しないでね、僕に本気を出させたことを』
「ほざけ。てめえこそ後悔するんじゃねえぞっ」
言い終える否や、赤林が駆けだした。
リオも応戦せんと、再び前足で宙を薙いだ。
そこからは、一進一退の攻防が続いた。
リオが風を操り赤林を追い詰めたかと思いきや、赤林の剣がリオを捉え斬りつける。
逆に赤林がリオを仕留めたかと思いきや、思いも寄らぬ方向からの攻撃で形勢が逆転する。
二人の戦いを見守る両組の選抜メンバーは疎か、観客ですら言葉を失っていた。
これが本当に学生の戦いなのかと、誰もが思うほどに高度な戦いが繰り広げられていた。
「ふ、ふふ、ふはは。やるじゃないか……、やるじゃないか……! そうじゃなきゃ、面白くねえ……!」
赤林が楽しげにつぶやく。
『そうだね、まさかこんなに楽しい戦いをできるとは思わなかったよ』
対するリオも、楽しげに応じた。
『でも……』
リオが宙を一薙ぎし、五本の杖を出現させた。
『そろそろ終わりにしようか』
リオの様子を見た赤林は笑みを消し、真剣な表情になって剣を構えた。
「そうだな、そろそろ潮時だ」
両者が睨み合う。
永遠と思える一瞬の間を置いて、両者は同時に前に出た。
「そこまで!」
だが、次の瞬間、審判からの静止がかかった。




