4−1
「これより、第一試合、S組対W組の試合を始めます。両チーム代表、前へ」
審判の声を合図に、四人と一匹は壇上に上がる。
コロシアムのような施設、その中央におあつらえむきに備えられたステージに、足をかける。
相手チームも同様に上がってきた。
だが、相手チームは蔑んだ目でこちらを見ていた。
ぐるりと囲まれて設置される客席からも、クスクスと笑い声が漏れ聞こえていた。
ただ、一人、相手チームの主将格であろう少年だけは、真剣な面持ちでこちらを見ていた。
その先には、猫の姿を借りたリオが佇んでいた。
「両チーム、礼!」
審判の声に従い、両チームが頭を下げる。
だが、S組の学生は、尚もクスクスと笑っているようだった。
「では、第一戦の組み合わせを発表する。第一戦、S組代表は赤林! 対するW組代表は、白山!」
観客にどよめきが起こる。
だが、S組の学生たちだけは、してやったりという顔をしていた。
「やられたわ……」
キリエが唇を噛んだ。
他のメンバーも苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
『こうなったら仕方がない。とりあえず善処するよ』
リオはそう言うと、一歩前に出る。
『大丈夫、僕らなら勝てるさ』
そして、そう言い残すと、ステージ中央へと足を運んだ。
キリエたちはステージ外へと下がる。
S組の学生たちも、ステージの外へと退避していた。
審判も同様にステージ上からは捌けていた。
「よお?」
ステージ上に二人だけになると赤林が声をかけてきた。
あまり声を張らず、二人だけに聞こえるような音量で話しかけてきた。
『なんだい?』
リオはいつものように、空気転送による意思疎通を図った。
「く、くくく……」
すると突然、赤林が笑い出した。
リオは不気味に思い、警戒心を露わにした。
「ああ、すまん。嬉しくてな。やっと主席様と対面できたのが」
赤林は尚も続ける。
「てっきりこっちのクラスにいるもんだと思ってたのに、W組だあ? Waste……廃棄物組なんぞに身を潜めて、何を企んでやがる?」
『別に潜んでなどいないさ。ぼくは必然的にこのクラスにいるだけだよ』
リオはあっけらかんと答えた。
だが、赤林は納得がいっていない様子だった。
「ほざけ、主席。てめえのおかげでこちとら入学初日から辱めを受けたんだ。その借りは今返してやるぜ、学年内最強のおまえをぶっ倒してなあ」
『僕が、最強?』
言い終えるなり、猫が小刻みに震える。
『僕が最強なわけないじゃないか、見る目がないね』
リオは猫の身体を揺らして、くつくつと笑っていた。
赤林は苛立ちを隠そうともせず、言い放った。
「うるせえ、てめえが主席なのは変わらねえだろ? だったらてめえをぶっ飛ばせば、俺の方が優れていることは証明できる。今はそれでいい、今はな……!」
言い終えると、赤林は戦闘態勢を取る。
対して、リオも臨戦態勢をとった。
「準備はいいですか? それでは、はじめ!」
審判の合図とともに赤林が剣を創出しながら駆け出した。
リオはその場を動かず、前足を前に突き出した。




