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圧倒的。
マリアと幻魔生物との闘いは、ただその一言に集約されていた。
一体複数であるとは思わせないほどに、マリアの力は圧倒的だった。
一体の消滅の直後も、マリアは手を緩めることもなく、凄まじい速度で動き回った。
時には火の玉を創出し攻撃し、また時には肉弾戦で幻魔生物を圧倒し、幻魔生物に攻撃する隙を全くと言って良いほど与えなかった。
見ていた五人は、まるで舞を見ているような錯覚を覚えた。
右へ左へ上へ下へと華麗に動くマリアに、言われるまでもなく視線を逸らすことなどできなかった。
こんなにも美しい戦いができるのかと、呆然とした。
五人には、マリアの戦いを見守ることしかできなかった。
物の数分間で、全ての幻魔生物が消滅した。
周囲を一瞥したマリアは、ふうと一息吐き、五人の元へ戻ってきた。
「ま、こんな感じだ」
放心していた五人は何も言えなかった。
何を言えば良いのかもわからなかった。
「おいおい、あまりの華麗さに見惚れてしまったか? かはは、まあ、無理もないがな!」
マリアは調子に乗ったように言ったが、五人は事実見惚れていた。
その圧倒的な力に、マリアの実力に、完全に心酔していた。
「ま、これが幻魔生物との戦いってもんだ。見ただけでも勉強になっただろう?」
マリアはそう言うと、当初のようにデッキチェアに寝そべった。
「さて、特別講義はこれで終わり。流石に疲れたからちょっと休憩させてくれ」
そう言うと、マリアは目を閉じた。
五人は視線を交わし、同時に頷く。
そして、水から上がって、めいめい訓練を始めた。
先の戦いを脳裏に描きながら。
少しでもあれに近づけるように、と。




