表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/67

3−4

「素人相手に容赦なさすぎよ……」

 地に座り込むキリエが口を尖らせた。

「まあまあ、そう言うな。どの程度できるかを測るためだったんだから」

 マリアがからからと笑いながら言った。

 だが、キリエはまだ納得のいっていない様子で、ふて腐れていた。

『先生、やっぱり強いんですね』

 ちょこんと座る猫──リオが尊敬を込めて言った。

 キリエと違い、悔しさなどは微塵も感じていないようだった。

「まあ、それなりにはな。だが、世の中にはもっとすごい奴がわんさかいるぞ? この学園にだって、たくさんいる」

『へえ……。これからが楽しみだなあ』

 リオは目を輝かせているようだった。

 猫の姿を通じてでも、それが感じ取れた。

「さて、全員の力は把握できたし、いよいよ本番だ。今から地獄の訓練を開始する」

「地獄……」

「嫌ですぅ……」

 キリエとあんなが同時に呟いた。

 ナナとジンも身構えているようだったが、リオだけはどこか楽しげな様子が猫から伝わってきた。

「まずは、近距離班と遠距離班に分ける。リオとあんなが遠距離班、キリエくん、ジンが近距離班だ。あとは、班ごとに戦い続けてもらうだけだ。あ、ナナくんは私と一緒との個人訓練な」

「それだけ……?」

 キリエが呆気に取られた様子で言った。

 だが、マリアは意に介していない様子だった。

「ああ、それだけだ。だが、時折私が現れて直接指導をする。それまでは自分たちで試行錯誤して戦い方を模索するんだ」

「……なんだか、納得いかないわね」

 キリエはまだ不服なようだった。

「まあ、そう言うな。それに、リオとジンは人に教えるだけの技術があるからな、あんなとキリエくんは彼らから色々と学ぶが良い」

 そこまで言い終えると、マリアは真剣な表情になった。

「試験までそこまで日があるわけでもない。だが、私はどうしてもこの戦いに勝ちたいのだ。そのためには、実践を積むのが一番確実だからな。ほかのクラスと違い、ウチは選出される五名が確定している。そのアドバンテージを最大限に生かすにはこれが最良なんだよ」

「はあ……、わかったわ。とりあえず、戦ってればいいのね」

 キリエが諦めたように納得すると、マリアは笑顔で応えた。

「そういうことだ。というわけで、私はしばらくナナくんの指導に入るから、四人は一対一で戦っててくれ。しばらくしたら様子を見にくる」

 そう言うと、マリアはナナを連れてどこかに歩いて行った。

「はあ、仕方ないわね。じゃあ、あっちの空き地で私たちはやってるわ。リオ、あんな、またあとでね。ジン行くわよ」

 そう言うと、ジンが首肯し、二人はその場を去った。

『じゃ、こっちも始めようか』

「はい〜、お願いしますね〜」

 穏やかなやり取りながらも、二人は瞬時に闘気を高め、次の瞬間には戦いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ