表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
プロローグ「それぞれのはじまり」
2/67

0−2

(いつまで待ってりゃいいのよ……)

 少女はいらいらしながら、目を閉じてパイプ椅子に腰かけていた。

 厳しい試験を突破し、名門と言われるここに入れたのはいいものの、初日である入学式から予定通りに始まらないという杜撰な運営に、うんざりとしていた。

(ここって、名ばかり有名で、本当は大したところじゃないのかしら? 式の開始は遅れるは、事情説明も大してないは、それに……)

 少女は片目だけ開き、前方を見やった。

 全員が期待と緊張と不安でざわめくのを無視して、最前列の中央の空間に意識を向けた。

(なんで猫が入り込んでるのに、学生はおろか、教員まで何の反応も示さないのよっ)

 新入生がずらっと並んでパイプ椅子に腰かける中、その椅子にだけは猫が鎮座していた。

 ちょこん、という形容が相応しい、可愛らしい様子で一等席を陣取っていた。

 ──ガガ、ピーッ。

 まだ始まらないみたいだし、近くにいる教員に声でもかけようかと思った瞬間、マイクのスイッチが入った。

『大変長らくお待たせいたしました。準備が整いましたので、ただいまより入学式を執り行います。一同、起立!』

 続けて発せられた指令に少女は慌てて立ち上がった。

 そのまま、声をかけるタイミングを完全に逸してしまった。

 猫は、未だ静かに、椅子から壇上を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ