3−3
「まあ、キリエくんも何とかなりそうだな」
全く疲れた様子を見せないマリアが独りごちる。
キリエは膝をついたまま、動けなくなっていた。
そして、マリアは残った二名、棒立ちして微塵も動かなかったナナと、あっけらかんとしているあんなに向き直った。
「さて、次はどうしようか」
「それじゃぁ、私がやりますぅ」
あんなが物怖じしない様子で言った。
「うーん、ナナくんも見てみたかったが、まあ、良いか。久しぶりの手合わせだ、全力でかかってこい」
「はーい」
言い終えた瞬間、あんなの姿が消えた。
隣で見ていたナナは訳がわからずキョロキョロと辺りを見回した。
すると、マリアに向かって複数の矢が降り注ぐ。
マリアは瞬時に片手を矢に向け、それを防いだ。
ナナは訳がわからずその出所を探った。
矢の出所は、空だった。
宙には、弓を構えた、あんなの姿があった。
「ほうほう、腕を上げたな、あんな。だが……」
言い終えるや否や、マリアが両手をあんなに向ける。
すぐさま、何かの円陣が現れたかと思うと、複数の火の玉が出現した。
「ほい」
マリアのかけ声と共に、火の玉があんなに向かって突進する。
あんなは更に高度を上げ、弓に創出した複数の矢を番えた。
そして、あんなが矢を射ると、矢はまっすぐにマリアの放った火と玉に向かって突進した。
矢と火の玉が衝突すると、衝撃音と共にどちらの姿も消えた。
代わりに、周囲には煙が立ちこめた。
「しまっ……」
「ほらほら、どうした?」
あんなの声が聞こえたかと思うと、同じ場所からマリアの声が聞こえた。
マリアはあんなの位置まで飛び上がっていた。
そして、身体を回転させながら、あんなに向かって蹴りを放つ。
あんなは辛うじて両手をクロスさせて衝撃を防いだが、反動で真っ逆さまに地に落ちた。
激しい衝突音と共にあんなが墜落する。
少し離れた位置に、マリアは音もなく着地した。
「おいおい、これで終わりか?」
マリアが挑発するように言う。
「ずるいですぅ、近距離は苦手なのにぃ」
すると、情けない声を出しながらも、あんなが起き上がった。
「バカたれ。苦手だろうがなんだろうが、相手次第では対処せねばならんのだ」
「むぅ……、いけずですぅ……」
あんなはまだふて腐れていた。
劣勢なのは誰の目にも明かだった。
「だったらぁ、えいっ」
掛け声とともに手を上に上げた。
その瞬間、辺りが光に包まれ、視界を奪われた。
「ほうほう……、なるほど……」
感心したようなマリアの声が響く。
「きゃあ」
だが、次の瞬間にあんなの悲鳴が轟いた。
光に視界を奪われていたナナが目を開けると、地に横たわるあんなと、その横に立つマリアの姿があった。
「中々に考えたが、まだまだ甘い。視界を奪うだけでは私は倒せんぞ」
やはり疲れた様子を見せないマリアが、地に伏せるあんなに向かって言い放った。
「さて……」
マリアがナナに向き直る。
そして、ゆっくりとナナに歩み寄ってきた。
ナナは覚悟を決め、身構えた。




