3−2
「うんうん、リオ、ジンは問題ないな。学生相手なら、そのままでも十分にいける」
全く疲れた様子を見せないマリアが満足げに頷いた。
評されたリオとジンはと言うと、地面に突っ伏していた。
「なんなのよ、これ……」
キリエは恐れ戦くように呟いた。
思わず、一歩後ずさってしまった。
「よし、じゃあ、次はキリエくん、かかってきたまえ」
「え、あ、うん……」
放心していたキリエは我に返り、マリアに向き直った。
そして、唯一使える異能、二本の短剣の創出を実行した。
「なるほどなるほど……。中々に良い発想だ。あとはその扱いがどうかだな。さ、かかっておいで」
恐怖を抱えながらも、キリエは両の手に短剣を構えた。
「……いくわよっ」
少しして、覚悟の決まったキリエは、マリアに斬りかかった。
だが、マリアが片手をヒョイと上げるだけで、キリエの攻撃は何かに阻まれるように弾かれた。
驚いたキリエは慌てて数歩飛び退く。
そして、ジッとマリアを見つめ、隙をうかがった。
「そんな単調な攻撃では全く届かんぞ」
マリアはそう言うと、手のひらをキリエに向けた。
すると、その先から火の玉が創出され、キリエに向かって一直線に向かってきた。
キリエは横に飛びそれを躱したが、第二、第三の火の玉がキリエに向かってきていた。
回避不能と判断したキリエは、両の短剣で二つの玉に斬りかかった。
キリエの攻撃を受けた火の玉は、軽い爆発音とともに消失した。
攻撃の回避に成功したと判断したキリエは、マリアに向き直った。
だが、先ほどまでマリアがいたはずのそこに、マリアはいなかった。
「遅いぞ」
そして、背後から声が聞こえたと思った刹那、背中に大きな衝撃を受けて前へ飛んだ。
そのまま、キリエは地面に突っ伏した。
「どうしたどうした? もう終わりか?」
悔しさのあまり、キリエはギリと歯をかみしめた。
「まだ……、まだ……!」
勢いよく起き上がり、キリエは再び短剣を構えた。
「おー、いいぞいいぞ、その調子だ。さあ、どんどんかかってこい!」
マリアは楽しげに口をゆがめる。
キリエは声を張り上げながら、再びマリアに突っ込んだ。
「ほらほら、いつもの勢いはどうした? もっと真剣にやらないと、異能を使える相手には歯が立たないぞ?」
次々と斬りつけるキリエの攻撃を、マリアは事も無げにいなし続けた。
キリエは右から斬りかかっては切り返して左からなど、ありとあらゆる方向から、ありとあらゆる方法で攻撃を試したが、何一つとしてマリアには届かなかった。
「ふむ……、こんなものか……」
マリアがぽつりと呟く。
刹那、先ほどまで斬りつけていたマリアの姿が忽然と消えた。
キリエは驚き、大きく飛び退く。
辺りを見回すが、マリアの姿はどこにも見当たらなかった。
「チェックメイトだよ、キリエくん」
突然、頭上から声が聞こえた。
キリエは驚いて上を見上げようとしたが、その瞬間に身体に衝撃が走り、その場に跪いた。




