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異能園〜いのえんへようこそ〜  作者: あみるニウム
第二章「ペーパーテスト」
15/67

2−4

「こうなったら、最後の手段を使うしかないわね」

 簡易テーブルに所狭しと並べられていた差し入れに手を伸ばしながら、キリエが真剣な面持ちでつぶやいた。

『そうだね。あまり褒められたことではないけど、それしか手はないかも……』

 リオもどこか深刻そうな声で応じた。

 ジンも仕方ないと態度で表していた。

「最後の手段って……?」

 数量限定とキリエが歓喜していたおやつを手に持ちながら、ナナが首を傾げた。

 あんなは全く話に加わる気はないようで、次から次へとおやつにジュースにと手を出していた。

「……カンニングよ」

 少しの間を置いて、キリエが苦虫をかみつぶしたような表情で言った。

 ナナは驚き、おやつを頬張ろうとしている姿で停止してしまった。

「で、でも、それって……」

 ようやく思考回路が動き出したナナは慌てて言った。

 だが、キリエが手のひらをナナに向けて突き出し、その続きを遮った。

「わかってる、わかってるわ。バレれば退学物の愚行だということは……。でも、それしか思いつかないのよっ……!」

 キリエが机に突っ伏した。

『申し訳ないんだけど、あと数日でどうにかできる状況でないのは、確かなんだよね……』

 逡巡しているようながらも、リオも賛同を示した。

 その発言に、ナナはがっくりと肩を落とした。

『もちろん、やれるだけのことはやるべきだと思うけど、最終手段として考えておくべきかもしれない。特に……』

 リオは視線をあんなに移す。

 あんなは相変わらず次から次へと口に差し入れを放り込んでいた。

『あんなは絶望的な気がするから……』

 キリエとジンが首肯する。

 ナナも申し訳なさそうにあんなに視線を送ると、自分の話題だと気がついたのか、ようやくあんなは手を止め、にっこりと笑いながら首を傾げた。

 その様子に、キリエは大きく嘆息した。

「……やっぱりやるしかないわね。リオ、頼んだわよ」

 キリエの言葉に猫が頷くような仕草で答えた。

『気乗りはしないけど、仕方ないね……』

 そして、どこか諦めたようなリオの声が聞こえた。


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