無人島生活3日目〜最悪な始まり
久しぶりです。
今回もよろしくお願いします。
それでは本編へどうぞ。
グギャ、ギャギャ
ギャギャギャギャ
「うっ・・・」
グギャ、グギャギャ
ギャグギャギャギ
「うっ、うっ・・・」
ギャギャギャグャ
ギャグャギャギャ
「あーーーうるさい。」
日もまだ昇らない無人島生活3日目。俺は、生理的嫌悪感の象徴であるような謎の声にうなされて起きてしまった。
ギャギャギャギャ
グャギャギャグギャ
「この声?は外から聞こえるのか?」
辺りを見回すがその声の正体であるような者はどこにもいない。いるのはアンだけだ。ならば、外にいると俺はふんだ。
「ちょっと、見に行ってみるか。」
俺はその謎の声の正体を探るために、アンを起こさないようにそーっと寝室のドアを開け、玄関の扉を開けて外に出た。そして、一瞬で驚愕した。
グギャギャギャギャギャ
ギャギャギャギャグギャ
玄関を開けると、すぐ目の前にその声の正体達がいた。その数はざっと100匹以上。肌が緑色で醜い顔をしており、全員裸だった。
「ゴブリン的な?」
俺はRPGでよく出てくる最初の雑魚モンスターを連想させた。
グギャギャギャ?
ギャギャ?
「ん?どうやら、全員こっちにきずいちまったみたいだな。だるいけどいっちょやるか。これくらいならなんとかなりそう。」
こいつらもといゴブリン達は、俺の声に反応して全員がこちらを向いた。そして、好戦的な眼差しを俺に向け、一気にかかってきた。
「おい、まじか。全員一斉?とりあえず、「ファイア」。」
俺は、右手をゴブリンの群れに向け、『火魔法'ファイア'』をはなった。すると、ゴブリン達はそれを避けようともせず、純粋に向かっていって散っていった。
「あれ?学習能力がないのか?だったら、簡単か。残りもバンバンやるか。」
それからの戦いは単なる流れ作業になった。学習しないゴブリン達は、仲間がやられてもただ俺に向かってきて全員が虚しく散った。
「終わったか。じゃあ、素材回収するか。」
俺はゴブリン達の使える素材だけを回収するために、新たな魔法『空間魔法'セレクション'』を使った。この魔法は、必要な素材だけを勝手に選定してインベントリに落としてくれるという優れものだ。常時発動可能で、魔力消費量は中。効果範囲は50㎞圏内。なかなかにコストパフォーマンスの良い代物となっている。
「よし、こんなもんか、かえろっ───え?」
素材回収も終わり、俺が帰ろうとしたその時だった。遠くて暗闇でよく見えないが、何がこちらに向かって走ってきているのが見えた。
ウォッン、ウォォーーン
ウォンウォン、ウォッン
「え?今度は狼的な?」
鳴き声からして一瞬犬か何かと思ったが、こういう時に出てくるのは大抵ウルフだと決まっているのでそう感じた。案の定、その姿が月の光によって照らされると、銀色の毛並みが目立つ狼の群れが見えた。その数は、ゴブリンの群れのおよそ3倍。約300匹ほどの数だった。
「勘弁してくれよ。只でさえ魔力が完全回復してないってのに、これ以上は流石にきつい───え?」
そう思った直後だった。突然ジャングルの方から無数の蔓が伸びてきた。その数およそ数千。その蔓はうねうねとくねると、放置してあったゴブリンの死体に絡み付きジャングルの方へと持っていってしまった。
「今度は肉食植物か?まずいな、皆ゴブリンの死体目当てできてる。この数を相手にするとなると、『結界魔法』使った方が効率がいいか。」
俺は大多数の敵を相手にするため、全面をカバー出来る『結界魔法』そのなかでも、殺戮に特化した『殺戮結界』を使うことにした。この結界は、結界内に入った敵対者をありとあらゆる方法で殺すためのもので、1度入ったら2度と出られないという仕組みになっている。そして俺は、本格的に魔物達の襲撃が始まる前にその結界を発動した。
「よし、後は襲撃が終わるまで気長に待つか。」
発動者が寝てしまうと結界は崩壊してしまうので、俺はずっと起きている必要があった。だが生憎、当分起きていられるので寝てしまうような心配はない。
それから数分後、魔物達の断末魔が聞こえ始めた。
クウォォン
クォウォーン
次々と息絶えていく魔物達。やはり、ゴブリンと同じで彼らも仲間がやられても何度も結界の中に向かってきて散っていた。
俺はその光景を家の前でまず、一時間見ていた。
「まだ、終わらんのか・・・」
それから、一時間後。
「終わんねー。早く終われー。」
そのまた一時間後。
「はっ、はっ、はっ、まだ、やってるのか?」
またまた、一時間後。気がつくと、朝日が昇っていた。
「もう、終わりに、してくれー」
またまたまた、一時間後。ついに、そのときがやって来た。
「ふっん、んっ、はっ、終わった?終わったーー、やったぁー。」
俺は魔物との五時間の戦いの末、ようやく結界を解くことができた。そんな魔力も体力もすでに限界を越えている俺は、最後の力を振り絞って「セレクション」を使って素材を選別し、要らないものを纏めてインベントリのごみ箱専用の場所に放り込み、体を『生活魔法'クリーン'』で綺麗にしてから、アンの待つ寝室に向かい、ぐっすり寝ようとした。だが、
「パパー、おはよう。朝早いね。」
寝室の扉を開けると、そこには今起きたばかりのアンがいた。
「あ、ああ、おはよう。アン。」
俺は苦笑いを浮かべながら、休むことなく、朝食の準備に取り掛かるのであった。
次回も不定期更新です。
それでは、また。