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無人島生活2日目〜俺が初めて○○になった日

今回もよろしくお願いします

それでは本編へどうぞ

「たす、けて・・・」


そこには、青緑色の髪の毛を持った白い肌の女の子がいた。年齢は10歳前後に見える。だが、そのわりにはとても痩せ細っていた。


「大丈夫か!」


俺はその子のそばまで寄り、容態を伺う。見た感じでは、身体中に無数の傷があり、呼吸が荒いのが分かった。


「はぁ、はぁ、はぁ、助けて・・・・」


彼女が俺の声にきずき、服を掴んでくる。


「分かった。今助けるから、待ってろ。『キュア』」


俺がそう唱えると、彼女の体が緑色の聖なる光に包まれた。この『回復魔法'キュア'』は、対象者の体力、外傷を回復することができる。魔力消費量がとても少ない割には、回復量が多いというコストパフォーマンスが最適な代物だ。なので、1分もしないうちに彼女の外傷、呼吸全てのバットステータスが通常に戻った。


「ん、んん。あれ?私生きてる。体も軽い。え?」


彼女は、突然自分の体の容態が通常通りに戻ったことに驚く。そして、体を起こし始めた。


「大丈夫か?無理するなよ。」


俺はそう言って、彼女の体を支えようと手を伸ばした──瞬間


「いや・・やめて!やめて!お願い!もう、痛くしないで!」


彼女は俺の手を拒絶した。そのまま後方に下がる。そこで俺は、どうしたんだと思い彼女に近寄ろうとした。だが、その俺を見る目を見て全てを理解した。


'恐怖'


彼女の目にはそれしか映っていなかった。ただひたすらに、他人を拒絶する目。心の拠り所を失った者の成れの果てだった。


俺は彼女に手を伸ばすのはかえって逆効果だと思い、手を後ろにしまった。そして、俺はにっこりと笑う。


すると、彼女の今にも泣きそうだった顔は、きょとんとした顔に変わった。俺はそれを好機だと思い、優しく話しかける。


「傷は大丈夫かい?痛くない?初めて回復魔法を使ったから、あんまり自信無かったんだけど、元気でたかな?」


「・・・・・・」


女の子は黙ったままだ。だが、最初に拒絶された時よりはましな顔になった。


(もう一声か・・・・ここは、魔法使って何か魅せるか)


「ほらぁ、見ててね。うさぎさんだよ!」


俺は『生成魔法』を使い、手のひらに砂でマスコット的な兎を作った。その次には猫を作り、その次にはパンダを作り、その次には猿・・・・とどんどん作っていった。


すると、18体目の動物を作った辺りから彼女の顔が明るくなってきた。さらに、24体目辺りでは口元に笑みさえ溢れ始めた。俺はその変化が嬉しくなり、本気を出すことにした。


俺は手のひらでマスコット的動物を作るのをやめ、地面の上に手をおく。そして、『生成魔法』を使った。


ドゴォッ!


突如、地面が怒号をならしながらマグマが吹き出したかのようにうなり始める。そして、地面はモコモコと動きながら1つの動物の形を形成していった。それは、鋭い爪、鋭い牙、百獣の王という誇り高き異名を持つ『ライオン』───に似たマスコットキャラクターになった。



「すごい!」



その瞬間、彼女が初めて言葉を発した。だが彼女は、しまった見たいな顔をしてすぐに下を向いてしまう。


俺はもう一声、もう一声と思い、そのライオンを動かして、逆立ちをさせたりした。すると、また彼女が上を向き、顔が晴れやかになった。


「体の具合は大丈夫かい?」


俺は唐突に、今度こそと思い話しかけた。すると彼女は、もじもじしながらゆっくりと喋りだした。


「あ、うん。良く・・なったの。お兄ちゃんの・・・おかげ。」


「それは良かったよ。それでね、君に聞い────」


「私、君じゃない。私は・・アンナ。アンって、呼んで」


「アンナ、アンちゃん。」


「だめ、アンって呼んで。」


「分かったよ。アン。」


「はーい」


「じゃあ、アン。俺の名前は、ミキト。よろしくね。」


「よろしくミキト。一人称が変わった。猫被ってたの?」


鋭いなこの子。本当に幼女か?というか、もう結構馴染んでないか、これ。だとしたら、嬉しいんだけど。


「う、うん。まあ、その辺は置いていて、アンに聞きたいことがあるんだけど、家まで来てくれるかな?」


「うんいいよ。お兄ちゃんは悪い人じゃなさそうだし・・・幸薄そうだし。」


彼女は即答してくれた。だがなぜか棘を刺してくる。心を許してくれたのは嬉しいのだが、なんかしっくり来ないな。


そのあと俺は違和感を残しながらも、とにかくアンを家に連れていった。そして、彼女から色々と話を聞いた。


話の内容を要約すると、こんな感じ。


・アンはガウセル王国の貴族の奴隷

・主の隙を見て、屋敷から逃亡

・身を隠すために入った洞窟で、魔法陣を発見

・興味本意でその上に乗ったら、気がつくとどこかのジャングル

・潮の香りを頼りに海へ向かい、そこで俺と出会う

・助けて貰ったが、またあの場所に連れ戻される思い、俺を拒絶

・俺の魔法を見るうちに、俺が気を許せる相手だと確信

・俺を好きなった

・最近、ガウセル王国に勇者が召喚されたと話題


ってあれ?なんか最後の2つだけ、すごい引っ掛かるんですけど。


「アン、俺を好きって?」


「うん、アンね。ミキトのこと好き。」


「それは、人としてだよね?」


「ううん。女の子として、好きっ。」


・・・・・・・・


(はい終わったぁーー。警察さん、俺今の内に自首します。だから、刑を軽くしてください。)


アンはどうしたの?という顔をしてくる。そして、今度は駄目なの?という顔をして、泣きそうになってしまった。


「あー、あー、あ、アン。ひとまず、お父さんとして、好きってことでいいかな?」


「なんで?ミキトは悪い人なの?」


そう言って、アンは再び泣きそうな顔になる。


「あー、あー、あ、ち、違うんだよ。そうじゃなくてね。俺の国じゃ、幼女とそういう関係になっちゃ駄目なんだよ。」


「やっぱり、悪い人?」


アンは首を傾げて涙目で訴えてきた。


(反則だ!ああ、可愛すぎる!天使かっ!お前は!)


「はあ、分かったよ。でも、今はその気持ちは素直に受け取れないな。アンが大人になるまで、保留だ。だから、今はお父さんとしての好きで我慢してくれ。」


年齢差はそれほどないので、こういう場合は兄が正しいのだろうが、両親のいないアンにとってはこっちの方がいいだろう。


「うん、分かった。じゃあ、私が大人になったらこの気持ちを素直に受け取ってね。パパ!」


ズキュン!


(はぁ?!反則だ!こんなの反則。可愛すぎる!)


俺はいきなり、自分で下した恋愛保留条約を破りそうになってしまった。それだけ、アンには魅力があるということなのだが、これはヤバい。


「はははは、分かったよ。じゃあ、今日からよろしくね。アン。」


「うん、パパ。」


そして俺はこの日、9歳児のパパとなった。

読んでくれてありがとうございます

次回も不定期更新です。

感想等頂けると嬉しいです。

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