デスオニオン
タマネギを食べると血液サラサラ
ちなみに…お兄さん…たぶん今日で消えます。
4月4日か…今日は皆既月食とか言う…月が隠れてしまう日なんだっけ?まあ…自分そんなの興味もわかないからな…
そんなことより…お腹が空いたぜ…
チッ…情けねぇ声で鳴きたくないんだが…背に腹は代えられねぇ、ご飯のためならプライド捨てるか。
あいにく人間じゃないし…猫だがらな…俺は。
鳴かなきゃ…自分の言いたいことも主張すら出来ないとは、生まれ変わったら人間になるぞ…。
くそ……鳴くか。
「何だよ……うるさいぞフェイ、俺は月見の真っ最中なんだ!あっち行ってろ…しっしっ!」
主人…いや、お兄さん…、気づけ…俺は腹が減っている!
それに……それは月見なのか?
違う意味な気がしなくもない。
「あれ?ねぇねぇお兄さん?フェイにご飯やったの?」
ナイス、詠!ファインプレー♪
「鳴くとうるさいし、さっさとご飯あげなさいよ」
咏、もう少しソフトに言ってくれ…俺のハートはガラスみたいに脆いんだ。
「仕方ないな……よっ、あーん?キャットフード昨日で無くなっちまったんじゃねぇか…そう言や詠、おつかいどうなった?」
「キャットフードを買い忘れちゃったぁ♪」
詠、お前だけは信じてたのに…。
笑顔で裏切られると…かなりハートがベコベコにヘコむんだが……
「ねぇねぇ、タマネギならあるよぉ♪ひき肉と混ぜればお野菜も食べれて一石二鳥だよねぇ♪」
「そーだな、やっとけ!やっとけ!」
ちょ、待て…俺に……いや、猫にタマネギは食わせないでくれ…。
「みじん切りにしておくわね。」
するな、入れるな…やめてくれ!
「ほらぁ♪フェイのご飯豪華だねぇ♪たーんとお食べ♪」
詠、お前の笑顔は……殺人級に…いや、殺猫級のチャンピオンだ。
そう言えば…なぜ猫にタマネギ食べさせちゃいけないのか…教えてやるよ。
確か…そう、お兄さんが俺を飼い初めてから間もなくネットで猫を飼う際の注意事項を読んでいたからな。
ん……?
読んでいたからな………だと?
なっ?アイツ…忘れてやがるのかよ!
飼い主失格だろ………ダメだアイツ。
確か説明を見たとき…うろ覚えだったしな、鵜呑みにされても困るが…聞いてくれ。
タマネギにはアリルプロピルジスルファイドってのが含まれてて、それが体内に入ると赤血球が破壊され…溶血性貧血やハインツ小体性貧血などになっちまうんだ。
血尿になったり胃腸障害…心拍の増加、最悪の場合は死ぬことだってあるんだ。
だから…食べさせないでほしいんだ…絶対だぞ?
そんなことより…お腹すいたな…これを食べても死ぬし、食べなければ空腹で死ぬかもしれない…。
どちらもバッドエンドじゃんかよ!
【月夜にて 我が悲壮の声 響きけり 隠れた月は 孤独そのもの】
猫の俺からしてみれば…今夜も月がきれ……いや、隠れちゃってるね。
悲しい……もう寝よう…寝て空腹を隠そう…。
食べたくても…食べられないもの…あります。