スチームバーチ
白樺の白色と黒の斑は美しい。
6月の9日、白樺バトル。
マウンテン山岳の麓には智美が女将をやってる居酒屋があるが、そんな裏手の林にモミジとカツラが何やらハサミを持ってウロウロしていた。
「しっかし母さんが白樺の葉付きの枝を採ってきて欲しいとはなぁ。何に使うんだか。」
「知らね。少なくとも食べる……わけじゃねぇよな。シナモンのように樹木の皮を食うわけでもなし。それなら葉付きの意味が無くなるし。」
「まー、後で分かるだろ。」
「それもそうだな、早いところパパッと採取して帰ろうぜ。」
指を指した方向には白樺の樹木。
他にも樫の木なんかも生えてるが目当てのもの以外は眼中にはない。
木の下まで立ち寄ると予めマークを付けて置かれた剪定しても樹木に影響のない場所をハサミで切り取る。
それなりに高い場所のは肩車してもらう。
「懐かしいなぁ、ガキの頃はよく合体ロボみたいにカツラを肩車してやったもんだ。」
「あはは……、懐かしいと言えば懐かしいかも。そう言えば重くないか?大丈夫?」
「俺のパワーをナメてもらっちゃ困る。仕事で800キロの鉄塊を担いだりするんだ。これくらいなんてこと無いぜぇ〜。」
「お、おう……そうか。」
結構な数欲しいと言われているものだから印のところをある程度切り尽くして背中に背負ったカゴに感じる重さは、意外にもずっしりと感じそれでいてモッサリと生い茂り、白樺の爽やかな香りがくすぐる。
末永家に戻って母親に渡すとようやくもどかしい用途のネタバラシ。
「これはサウナで使うんだよ。ほら、葉っぱでこう……なんとかしてるのは見たことあるだろう?ヴィヒタっていうのさー。」
「あー……確かに?ペチペチとシバきあうんだろ?」
冗談混じりにいでたつもりがすかさず反応する。
なにかに付けては揚げ足を取りたいのが智美。
「お母さんとやるかい?シバきあい。」
智美は白樺の枝葉をワシャワシャとモミジの頬あたりにくすぐらせる。
その表情はとても楽しそうだ。
息子のイジりがいというか反応はいつも新鮮でたまらない。
「身体が消し飛ぶからやめとくわ……なぁ、カツラ。」
8人の母さんの中で智美がトップクラスの腕力を誇り、簡単に親指だけで逆立ち腕立てなんてお手の物。
「俺を巻き込むなよ、頭バーサーカーかよ。それにしてもサウナに使うとは。うちのホテルでもそういうイベントやったら面白そうだ。」
「後で皆で入るわよ。そんでシバきあいをねぇ。」
冗談だとわかっていてもこの笑顔。
ちなみに後でモミジはかなり強めに一発シバかれてしばらく悶絶し、恍惚とした表情の智美に若干引き気味のモミジであった。
北の寒い場所の伝統です。




