首領の面構え
ドンッと行こうか。
6月の8日、偽りの生。
七刻において牧場といえば2箇所ほど存在することはご存知だろうか?
まずは陽光の牧場、そして風見の牧場。
陽光の牧場は委託されたものでありぶっちゃけて言えばどちらとも風見自然開発センターの施設。
いつもは陽光の方に焦点が行きがちなので、今日は久々に風見の方にお邪魔させてもらうとするか。
そういう俺は誰かって?
元木家の飼われ猫のモルガン・ル・フェイ。
三毛猫さ。
「ナーァ。」
面倒くさいが暇は暇でそれは嫌なのであくびを一発かましてから目的地へ向かう。
そうそう、普通の猫はニャーとか擬音にすればそんな感じで鳴くが俺は言葉に書くとナーみたいな感じ。
愛くるしいだろ?
しばらく走ると見えてくる牧場には平日だというのにも関わらずお客さんで賑わいを見せている。
買い物客がこちらに流れてきているから当然といえば当然か……。
動物と気軽に触れ合える点では癒やしの場、しかも動物園ではないので入園料もない。
餌やりや乗馬体験などは有料だがそれ抜きにしても人気なのはわかるだろう。
「よぅ、アロンソのおっちゃん……暇そうだな。」
牧場の入り口の近くにはロバのアロンソがいるものの、本人?本ロバいわくまだまだ現役だとは言う。
言うなれば定年迎えてもやる気はあるといったところか。
「おおフェイ。久々だな……はて、3日ぶりか?」
「昨日も会っただろ、ボケだよ……アルツハイマーなんじゃねぇの?」
「何を、まだまだ若いのには負けんよ。昨日だって乗ロバ体験やふれあい体験にも顔を出したからのぅ。」
「なんでぃ、昨日のこと覚えてんじゃん。まぁ、相変わらずだな。」
基本俺はプライドが高くて他社を見下す癖がある……悪いとは思わない。
だが足も遅くて鈍臭いロバのアロンソのおっちゃんは尊敬するに値するだけの価値はある。
「おっちゃんは昔G1に憧れてたって聞いたぜ?無理してG3にも出て立ってな。ロバなのにようやるわ。」
「あのときの私は自分が馬だと信じて止まなかったからのぅ。全く歯が立たなかったがね。」
「馬は時速60キロに比べてロバは40キロ。そりゃ敵わんわな。ついでに猫は50キロだ。」
「ロバはロバなりに生きるのが得策だ。馬のように走らされるために調教されるのはゴメンだし。そう考えればロバだって悪くはないだろう。」
「俺も猫で助かったぜ。犬のように愛想振りまいて媚を売るような生き物には……あー、まぁ港で魚貰うときに愛嬌出すのはノーカンだとしても。」
牧場にはたくさんの動物がいる。
客のニンゲンだってこちらからしてみれば同じく動物だ。
まぁ、そんなことはともかくだ……猫は寝る子とも言うのでこの干し草の上で寝させてもらうぜ。
アロンソの飯の干し草?
知らんなぁ。
夢はいつか覚めるもの。




