第一話
「ん…あー……」
ぼんやりとした視界に入ってきたのは綺麗な緑と水色の景色だった。
「ここは…?」
長時間寝ていたような頭のダルさを感じながらゆっくりと起き上がる。周りを見渡すと先ほどと同じように緑と水色の美しい景色、そして地面には…
「…え?なに?…死ん、でる?」
まさにそう思わせるかのように人がざっと10人ほど倒れている。
ダルい頭をフル稼働させて必死に今の状況を整理しようとする。
「ひ、人?倒れて…集団、自殺….?」
「ははっ、集団自殺か!お前面白いこと言うなー!」
突然聞こえた背後からの声に驚いて振り向くとそこには友達のユウキがいた。
「ユウキ!お前、なんで…いや、俺たちはどうして…それよりこの周りのは…」
「まあまあ、ちょっと落ち着けよ。ほら、ちゃんと見てみ?」
そう言うとユウキは一番身近にいる倒れた人の顔をビンタし始めた。
「…んあ?えっ、ちょっ、痛い、痛いって!」
「ああ、ごめんごめん、起きたのかー。」
ビンタされてる人の顔を見てみるとそれは俺も知ってる顔で…
「あれ?ハルト?」
周りで倒れてる人の顔をちゃんと見てみると全員知ってる顔だった。
ハルトは落ちてた眼鏡を掛け直し周りを見渡した。
「あー…そうか、俺たちあの扉の中に入ったんだっけか。ということはここはあの扉の中の世界、ってわけか。」
扉…そうか、思い出した。