とある休日ー友達とのお出かけー
今日は学校はお休みだ。お昼ご飯を食べたら、ジェシカちゃんがうちに来ることになっていて、それから一緒にアリーネちゃんちが経営しているお店に遊びに行くんだ!
そのことを父様と母様に話したら、せっかく行くんだから気に入ったものがあったらお買い物ができるようにと、それぞれ10銅貨づつお小遣いをくれた。姉様からは何か可愛いものがあったら買ってきてと5銅貨を預かった。
お小遣いを貰うのは初めて!なくさないようにしっかりとお財布にしまったのだった。
貨幣の価値は地球の貨幣と比べると…
1銅貨が100円くらい。
10銅貨で小銀貨(1,000円)
10小銀貨で1銀貨(10,000円)
10銀貨で1小金貨(100,000円)
10小金貨で1金貨(1,000,000円)
こんな感じだ。7歳の私が持つことがあるとすれば、小銀貨くらいまでかな?ちなみに金貨の上には白金貨もあるらしいけど、これは例え大人になっても見ることはないに違いない。
この前、母様に連れていって貰ったお菓子屋さんでは小さいお菓子は1銅貨から売っていた。そう考えると20銅貨はもらい過ぎな気がするが、初めての友達とのお買い物だから多めにくれたんだろう。全部使い切らなくてもいいんだしね!
今朝はいつもより早く目が覚めた。朝ごはんを済ませて、出かける支度も済んでしまったけど、まだお昼までは時間がある。
学校の図書館から借りてきた本があるから、読書しようかなとも思ったけど、どうにも気持ちが落ち着かない。読んでいても中々ページが進まないので読書はやめたけど、今度は何をして時間をつぶそう…
そう思っていると、ニィがお出かけから戻ってきて、私のところへやってくる。今日のお出かけは早く終わらせたんだなぁと思っていると、私の隣に座り込んで私のことをじぃっと見るので、ニィを構うことにする。
ニィは返事はしてくれないけど、いい聞き役だ。ニィに学校のことや今日のお出かけのことを喋りながら撫でていると、いつの間にかお昼ご飯の時間になっていた。
ようやくお昼だ!早速、居間に向かって、母様が朝出かける前に用意してくれていたご飯を盛り付け、姉様もやって来たので、一緒にご飯を食べる。
後片付けをして、姉様とお喋りしながら待っていると、ジェシカちゃんが私を呼ぶ声が聞こえた!急いで玄関に向かってドアを開けると、ジェシカちゃんが立っていた。
今日のジェシカちゃんは、ふんわりしたピンクのワンピースを着ている。銀色の髪とよく合っていて、すごく可愛い!
ちなみに、私は今日は白のワンピースで、腰には緑色のリボンが結んであって、そこがお気に入りポイントだ!
「アンちゃん、こんにちは!お出かけがすごく楽しみでご飯食べたら、すぐに来ちゃった!ちょっと早過ぎたかな?」
「ジェシカちゃん、こんにちは!私も楽しみで朝から落ち着かなくて、早めにお昼ご飯食べたの!だから大丈夫だよ!」
「一緒だね!じゃあ、行こうか!」
お互いに楽しみで落ち着かなかったんだねと笑いあって、早速出かけることにしたのだった。
ジェシカちゃんと2人、見送りに出てきた姉様に『いってきます!』の挨拶をすると、姉様も笑顔で送り出してくれる。
玄関を出て、アリーネちゃんのお店に向かって歩きだす。ジェシカちゃんとお喋りしながら歩いていると、あっという間に到着した。
アリーネちゃんのお店は…聞いてはいたけどすごく大きい!商業区の中心に近いブロックにあるそのお店は、周りのお店の数倍はありそうな大きさで、さらに周りのお店がほとんど1階建てなのに対して2階建てなので、遠くからでもよく目立つ。お店の中央には大きく【ブラウン商会】と看板がかかっていた。
お店の前ではアリーネちゃんが待っていてくれていた。
「アンちゃん、ジェシカちゃん!ようこそ!今日はゆっくり見て行ってね!」
「「アリーネちゃん、こんにちは!楽しみにしてるね!」」
そう言うと、早速お店の中に入る。1階は洋服やアクセサリー、雑貨などの売り場だそうだ。2階は寝具や家具などの売り場になるらしい。私たちが見るのは1階だねと話しながら、まずは洋服の売り場に向かったのだった。
洋服売り場もアクセサリー売り場も、色とりどりの新作が綺麗にディスプレイされてあって、見ているとあっという間に時間が経った。さすがに洋服やアクセサリーはお小遣いでは手が出ない。でも、髪飾りは私のお小遣いでも買えそうなものから揃っている。そこで見つけた、青色の石が付いた髪飾りがとても姉様に似合いそうで…値段を確認すると、預かった5銅貨でギリギリ買えたので、これを姉様に買って帰ることにした。
続いて雑貨コーナーに向かうと、生活雑貨から、部屋に飾ると可愛いであろう置物や文具、ぬいぐるみなど、ここもまた豊富な品が揃っていた。
どれも欲しくなるような可愛いものばかりだったが、動物の置物が並んでいるコーナーに着くと目に飛び込んできて離れないものがあった。銀色の手の平サイズの猫の置物だ。その猫がニィにそっくりなのだ。ニィの毛色は銀ではなく黒…それは大きな違いだけど、それ以外の顔の表情や全体の雰囲気はほんとにニィにそっくりだった。値段を見ると18銅貨とある。買えなくはない…でも、一個の置物にこんなに使ってもいいのかな…?そう悩んでいると、それに気づいたアリーネちゃんが声をかけてくる。
「気に入った?その猫の置物可愛いよね!アンちゃんちのニィちゃんに少し似てるし!気に入ったなら、少し値引きできるよ!」
「え?値引きとか大丈夫だよ!お小遣いちゃんと貰ってきてるし!」
「お父さんがお友達が来るなら、サービスするんだよって!サービスしなかったら、逆に怒られちゃうよー」
お友達が来た時はいつもサービスするとのことで、甘えることにする。結局、髪飾りは3銅貨、猫の置物は15銅貨にしてもらい、髪飾りの方は簡単に包装してもらうのだった。
ジェシカちゃんはというと、髪飾りと文具、入浴剤などを買っていた。入浴剤は家族へのお土産だそうだ。
お店を一通り見て回った後は、アリーネちゃんも一緒にお店を出て、アイスクリーム屋さんに向かった。アイスクリームは2銅貨だ。アイスクリームを買うと近くの公園に向かって、そこで食べることにする。そして、お喋りタイムだ。
夕方になり、遅くならないうちにとアリーネちゃんと別れ、家に帰り始める。ジェシカちゃんとはジェシカちゃんの家の前でサヨナラし、今日の楽しかったお出かけは終わるのだった。
夜ご飯を食べた後、早速家族に今日の報告をする。みんな楽しそうに聞いてくれ、姉様は髪飾りを喜んでくれた。ニィにそっくりな猫の置物は、家族はもちろんニィもなんだか気に入ったようだった。置物に早速すり寄っていたから。きっと気に入ったのだろう。
自分の部屋に戻り、窓辺に置物を飾ると、置物に月の光が差し込んでキラキラと輝いているように見えた。
また、皆でお出かけしたいな!そう思いながら、心地の良い眠りにつくのだった。