高等科ー卒業の日ー
高等科卒業の日を迎えた。故郷の初等科に入学してすぐに、首都のこの学園に編入が決まった。
初等科ではアリーネちゃん、ジェシカちゃん、リラン君と出会って仲良くなった。今でも3人とは何でも話せる友達だ。きっとこの関係はこれからも変わらないだろう。
中等科ではセシル王女やユリア王女からお茶会に招かれてアタフタしたなぁ。初等科の時みたいに、クラスの皆で王宮見学に招かれたのなら分かるけど、お茶会は私個人への招待だったから。でも、王女様方やお茶会で初めてお会いしたレオナルド王子は、とても良くしてくださって。お茶会に招かれたのを皮切りに、折に触れて招待して下さったから、いつしかとても親しくさせていただくようになっていた。
闇属性の存在、そして私に闇属性の守護があることを知ったのも中等科だったな。
高等科では、闇属性の魔法の練習や少しでも手がかりを探して図書館にも通った。闇属性の記載は、私たちが閲覧できる魔法書にはほとんど書かれていなかったけど、全くないということもなくて。昔の言語だったから、解読が必要だったけど、皆で協力して。少しずつだけど、前進してる。
舞踏会に招かれたのも高等科。そこで、レオナルド王子に思いを告げられて、婚約…。そう、婚約したんだよね。本当に9年の間にいろんなことがあったなぁ…。
私は明日から王宮に移り住む。レオナルド皇太子の婚約者として。皇太子妃に必要な教育を受けなければいけないから。そして、無理のない範囲で王宮の魔法研究所での仕事も始める。
と言っても、明日は引っ越しだけ。落ち着くまでは、ゆっくりペースで予定が組まれてるみたい。それに、一応春休みということで、王宮に移り住んでも春休みの間はお休みなのだ。このお休みを利用して、皆で卒業旅行に行くんだ!卒業旅行から帰ってきたら、本格的に勉強や仕事が始まる感じ。
高等科の卒業式では、学園から支給された魔術師のローブを羽織る。学園に制服はないけれど、皆がお揃いのローブを羽織ると、今日だけは制服があるように感じる。
高等科の卒業式は初等科、中等科の卒業式が行われた後で、最後に行われる。だから、高等科の先生方だけでなく、初等科から中等科にかけて担任だった先生方も来てくれている。
うちからは父様、母様、姉様はもちろん、お爺様やお祖母様が卒業式に参列してくれている。卒業式にはあまり大勢で押しかけられないからと家で待っているけど、従兄弟達も来てくれている。
従兄弟達は首都に住んでいないから、それでなくても会える機会が少ないのに、私が王宮に移り住んだら、ますます会う機会が少なくなるかもといって来てくれた。王宮に移り住んだからといって、今までの交友関係がなくなるわけではない。なくす必要もないと言われている。でも、今までと同じような感覚で、私の方から気軽に出て行くことは難しいだろう。だから、今回皆で来てくれたことは、すごく嬉しい。数日間滞在できるように、卒業式前から休みを取って来てくれているから、ここ数日の我が家はとても賑やかで楽しかったんだ!
いろいろ思い返していると、待機時間があっという間に終わってしまった。そろそろ卒業生の入場時間だ。
講堂に入場し、整列する。スミス学園長先生のお祝いの言葉を聞いていると、先生との授業のことが思い出される。最初は学園長先生直々の授業だなんて!と思っていたけど、スミス先生はとても親しみやすい優しい先生で。初等科から高等科まで、ずっとスミス先生が光属性と火属性の魔法を教えてくださった。1番多くのことを教えてくれたのが、スミス先生だ。本当にありがとうございました。
学園長先生のお話が終わり、卒業生一人一人の名前が呼ばれ、順に卒業証書を授与されていく。式は滞りなく進行していき、退場の時間だ。
スミス先生を筆頭にズラリと並んだ先生方。先生方が一斉に魔力を込めると、煌めくアーチが創り出された。【聖光】の輝きのようだ。煌めく5色の光が、私達が歩む道を包み込んでくれている。そのアーチの中を通って、割れんばかりの拍手の中を、退場していくのだった。
ジェシカちゃん達とは卒業旅行でまたすぐに会えるけど、他のクラスの友達とは中々会えないかもしれない。首都から故郷の街に帰る友達も多いから…。別れを惜しみながらも、時間はあっという間に経ってしまう。もう、教室も出なければ。いつかまた会えたら会おうと約束し合って、皆と別れたのだった。
こうして、長いようで短かった9年間の学園生活は終わりを迎えたのだった。
高等科卒業です。次話では卒業旅行に行きます。もう少しお付き合い下さいませ。




