とある休日⑤ー王子奮闘するー
今日は騎士団の公開訓練に来ている。初等科の時にリラン君と初めて見に行った後も、公開訓練日に予定が空いていた時には、何度か足を運んで公開訓練を見に来ていた。訓練の内容も毎回同じではないし、模擬戦も毎回あるとは限らない。久しぶりに行くと騎士様の顔触れも変わっていたりするし、公開訓練は何回見ても飽きないと私は思っている。
今日も訓練自体はいつもと変わらないのだが、いつもと違うところが一つ。模擬戦にレオナルド王子が出場するのだ。レオナルド王子がなぜ騎士団の公開訓練に?と思ったのだけど、皇太子のレオナルド王子は国の騎士団を束ねる総督のようなものなんだって。もちろん、その上には更に皇王陛下がいらっしゃるのだけど。
なので、レオナルド様も普段から武術訓練を受けているそうだ。公開訓練の模擬戦には初めての参加のようだけど。レオナルド様が出場するということで、セシル様とユリア様も観戦されることが決まって。そこに、私も招待されたのだ。一緒に観戦しようと。
指定された場所に向かうと、まだ王女様方は到着されていなかった。少し待っていると、護衛の騎士様と侍女さんを連れて、会場入りされた。王女様方の登場に、観客も盛り上がっている。そして、王女様方はまっすぐこちらへ。
(うぅ…この歓声の中で合流するのかぁ…。あれは一体誰?!って感じに思われてるんだろうなぁ…)
そんなことを思っていると、セシル様とユリア様がすぐ近くまで来られていた。慌てて挨拶をする。
「今日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
「来て下さって嬉しいわ。堅苦しい挨拶はなしでね。今日は一緒にレオナルドの応援をしましょう」
そう言うと、揃って席に着く。サイドと後ろには護衛の騎士様や侍女さん方が控えている。気軽に観戦って感じでは…ないな。
剣技の訓練、魔法の訓練と続いて、とうとう模擬戦だ。模擬戦の直前に皇王陛下が会場に入られる。王女様方の横にいるだけあって、いつもより距離が近いっ!すぐ近くってわけじゃないけど、この緊張感は半端ない…。
模擬戦は、その時々によって剣だったり槍だったりと、用いる武器が変わるのだが、今回は剣での試合であるようだ。魔法の使用はなし。
「レオナルド様も予選から戦われたのですか?」
「えぇ、そうでないと不公平だと言ってね。だから、身内自慢ではないけれど、レオナルドの実力はそれなりのものなのよ」
予選を勝ち残ったのなら、実力は相当あるのだろう。不公平だと予選から戦おうとしているのだから、皇太子だからと手加減をされるなんてことは許しそうにないもの。
レオナルド様の試合は3試合目だった。対戦相手はベテランの実力を積んでいそうな騎士様だ。
(…あれ?あの騎士様って確か前に見た模擬戦で準優勝された騎士様じゃあ…。レオナルド様、大丈夫かな…)
セシル様とユリア様も心配そうに見守られている。刃を潰してあるとはいえ、心配は心配だもの。
試合の鐘がなる。どちらも仕掛けるタイミングを図っているようだ。そして、最初に動いたのはレオナルド様。レオナルド様の剣も早いけれど、受ける騎士様も隙がなさそうで。剣の激しい撃ち合いが続いていく。
いつまで続くのかとハラハラしながら、目を離すこともできず見つめる。最初に相手の一瞬の隙を見つけたのはレオナルド様。そこからは、レオナルド様が一気に攻めていく。そして、レオナルド様の剣が、相手の騎士様の剣を撃ち落とした。レオナルド様の勝利である。
会場からは大喝采だ。レオナルド様は歓声に手を上げて応えられる。その時、こちらを見たレオナルド様と目が合った気がした。一瞬だったけど。
レオナルド様は次の試合も勝ち進み、決勝戦に進まれた。対戦相手は王宮騎士団の部隊長だ。レオナルド様は最初から全力で撃ち込んでいく。相手はさすがは部隊長。レオナルド様を圧倒する撃ち込みをしてくる部隊長に、レオナルド様は防戦に回される。レオナルド様も粘りを見せていたが、決着が着いた。
・・・決勝戦は部隊長の勝利だ。
皇王陛下より優勝者の騎士様に声がかけられ、剣が下賜される。会場はその様子に見入っていたが…騎士様よりもレオナルド様のことが気になるのだった。
「部隊長の実力はさすがね。レオナルドもまだまだということね」
「レオナルド様もすごかったと思います!剣を振るうレオナルド様は本物の騎士様のようでした!」
思わずそう言うと、セシル様が笑顔で『レオナルドに伝えておくわね』と言われる。『つ、伝えなくても大丈夫です』と慌てて言ったけど、笑顔で誤魔化されたのだった。




