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学園生活2日目ー親友との出会いー

 昨日、魔法の授業はマンツーマンで学園長が直々に教鞭を執るという衝撃的なことは判明したものの、無事入学手続きを済ませることができた。今日からは早速一般科目の授業の始まりだ。


 入学式からはもう2週間ほど経過してる為、同級生はすでに授業を受け始めている。入学式後の1週間はオリエンテーションのような感じで、本格的に授業が始まってからはまだ1週間。そんなには差は開いてないはずである。今日から頑張れば、少し開いてしまった差は埋められるはず!頑張らないと!



 支度を済ませ、同じく今日から授業を受け始める姉様と一緒に学校に向かう。初等科と中等科では校舎が別な為、校門のところで一旦さよならだ。


 まだ登校に慣れていない私の為に、帰りも一緒に帰ることになっていて、待ち合わせはやはり校門前だ。



「授業初日だから、緊張するかもしれないけど、授業自体はまだ基礎的なことだと思うからアンなら大丈夫!それより、自己紹介が肝心よ!2週間遅れで入学してくる子がどんな子か、どうしても注目されちゃうと思うし。頑張ってね!」



(…緊張するなと言いながら、なんだかプレッシャーをかけられてる気分です…姉様)



 そんなことを思いながら、時間もないので素直に返事を返しておく。



「はぁい、頑張ってきます!それじゃあ、また放課後にここで!」



 まずは、初等科の教員室に向かう。そして、担任の先生と一緒に教室に向かうのだ。担任の先生は神様の3属性の加護を得ている40代の男性で、ジョッシュ先生だ。


 ジョッシュ先生とは昨日顔合わせをしているので、顔は知っている。こげ茶の柔らかな髪に、同じくこげ茶の眼。笑顔の眩しい、とても優しそうな先生だ。


 教員室まであと少しという所で、ドアの前にジョッシュ先生が立っているのが見えた。私を待ってくれているようだった。少し早歩きで教員室に着くと、まずは肝心な朝のご挨拶!



「ジョッシュ先生、おはようございます!」


「アンさん、おはようございます。昨日はよく眠れたかな?緊張しているかもしれないけど、クラスの皆はいい子ばかりだから、安心していいからね」


「緊張は少ししてますけど、昨日はちゃんと寝れました!今日からよろしくお願いします!」



 そう返すと、その返事に満足したようにジョッシュ先生は笑顔を見せたくれた。



「じゃあ、そろそろ教室に向かおうか」


「はい!」



 そう言うと、先生は教員室から教室までの道のりを簡単に説明しながら歩き始めた。そして、あっという間に教室に到着だ。



「ここが1年生の教室だよ。まずは自己紹介からしてもらうけど、大丈夫かな?」


「はい、大丈夫です」



(散々、姉様にプレッシャーかけられたもの…大丈夫…なはず!)



 教室のドアを開けると、クラスメイトの視線がこちらに一斉に集まった。



(うぅ…やっぱりちょっと緊張するぅ…)



 先生に促されて教室に入ると、まずはジョッシュ先生が私を簡単に紹介してくれた。



「今日から皆のクラスメイトになるアン・リードさんです。2週間遅れの入学で、まだわからないことだらけだろうから、皆わからないことは教えてあげてくださいね。では、アンさん。自己紹介をしてださい」


「…アン・リードです!マカの町からやって来ました。学校のことだけじゃなく、この首都の街のことも知らないことだらけなので、いろいろ教えてくれたら嬉しいです。4人家族で、姉もこの学園の中等科に編入しました。猫を飼っていて、動物が大好きです。動物のお話ができたら嬉しいです。よろしくお願いします!」



(昨日一生懸命考えた自己紹介…やっぱ緊張して、考えてたのと同じように言えなかった…!)



 1人心の中で猛反省である…。それでも、クラスの皆は温かな拍手で受け入れてくれたようだ。良かった!


 先生に私の座る席を案内され、席に着くと、周りの子たちが小声で『よろしくね!』と言ってくれ、私も笑顔でよろしくと返すのだった。


 早速、授業が始まるのだが、今日からスタートの私がいるということで、今までの授業の続きではなく、この世界の歴史の授業を今日から始めてくれるという。教科書はなく、先生の話を聞きながら、ノートに書いていく感じだ。



 この世界の名前は【ディーネ】。創造神【ティオ】がこの世界を創造したのが、今から3000年前だとされている。創造神は各地の聖教会に祀られており、この世界の住人はほぼすべての人が創造神を祀る聖教会の信徒である。そして、私達が住むこの国は【オスラン皇国】。今から1000年前に興った皇帝が治める国である。初代皇帝は当時小国が争っていた地域を纏め上げ、国を興した。そして、代々その直系の子孫が皇帝となり、現在の皇帝は【オスカー帝】である。


 ジョッシュ先生は、この世界やこの国の地図や系図を指し示しながら、わかりやすく説明してくれる。そして、ここまで話したところで、1時間目はお終いで、休憩に入る。


 休憩に入ると、クラスメイトが私の周りに集まってくる。そして、色々質問を投げかけられるのだが、皆が聞きたかったのはやはり…



「ジョッシュ先生が言ってたけど、アンちゃんって全属性の神様の寵愛持ちなの??」



(やっぱもう皆知ってるんだなぁ…まぁ、そうだよね。魔法の授業は別に受けることになるんだし、すぐにわかることだもの…)



 なんてことを思いながら、質問に答える。



「うん、そうだよ。だから、故郷の町の学校の先生に、この学園に入学するように勧められたの」


「ほんとだったんだ!すごいね!」



 そう言うと、皆がそれぞれ自分の加護や寵愛の話をしてくれる。その中で特に印象に残ったのは…



 火神・風神の加護を持つ黒髪、黒目のリラン君。この国で黒髪、黒目は珍しい。前世の【杏】にとってはとても馴染み深い容姿だ。リラン君は隣国との国境近くの町から来たそうで、その町は友好関係にある隣国との交流も多い為か、隣国では普通である黒髪、黒目を持つ人が多いらしい。


 地神・水神・光神の加護を持つ金髪、翠目のアリーネちゃん。首都生まれで、一族で大きな商店を経営してるんだって。品揃えも多岐に渡るらしく、たいていのものがその商店で買えるらしい。今度行ってみよっと!


 水神の寵愛を持つ銀髪、碧眼のジェシカちゃん。彼女も首都生まれで、両親ともに聖教会の聖職者らしい。どの町にも大小の違いはあれど、聖教会はある。首都のそれは、とても荘厳なものだそうで、参拝者もひっきりなしなのだとか。引越し後は慌ただしくて、参拝も故郷の聖教会でしたきりだ。今度、家族揃って参拝しに行かなきゃ!



 たくさんのクラスメイトの中で、どこか惹かれるものを感じたこの3人とは、これから高等科までの学園生活中、そして生涯に渡っての親友となっていくのだった。


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