6年生ー王宮招待ー
6年生になってすぐ、王宮からの招待状が学校に届いた。内容はと言うと、6年生の皆を王宮見学に招待するというものだ。この知らせに皆は喜んだ。こんなことは滅多にないらしい。私もアリーネちゃんやジェシカちゃんと一緒に、着ていく服の相談などをしながら楽しみにしていたのだった。
見学は王宮の敷地で見学可能なところが指定され、そこを巡って行くというものらしい。王宮騎士団魔法部隊の詰所や、王立の魔法研究所も見学施設に入っている。どちらもぼんやりと将来の仕事について考え始めた私の、就職してみたい職場候補だ。滅多にない機会だから、しっかり見学しとかなきゃね!
そして、見学当日。王宮の敷地内を案内役の侍女さんに先導されて巡って行く。
王宮騎士団魔法部隊の詰所は、訓練所が隣接してあって、普段どんな風に仕事したり訓練しているのかを、副隊長さんが直々に説明してくださった。魔法部隊の皆さんも身分としては騎士様なのだが、制服もローブだし、魔術師団といった感じだ。
魔法研究所は、さすが王宮の研究所だけあってすごく立派な施設だった。父様と母様の職場である民間の研究所もそれなりに大きかったが、やはり王宮直属の施設となると規模が違う。研究者もたくさん働いていて、過去に生み出されたが古代語で記述されている為、まだ再現されていない魔法を研究している部署なども見学させてもらうことができた!古代語も単語だけ見せてもらえたけど、もちろんさっぱりわからなかった。
そして、一通り見学をし終わり、これで見学もお終いだねと皆で話していたのだけど…侍女さんから、驚きの話が伝えられる。
これから、王女様方に謁見できるというのだ!王女様方と言えば、あの【花祭り】で【花姫】をされていた方達だ。一瞬だったけれど、すごく綺麗な方達だったのを朧げながら覚えている。そんな王女様方に会えるなんて!どうやら私達が見学に来ているのを知って、会ってみたいと言われたそうで、謁見の場が急遽設けられたのだとか。
そして、また侍女さんの先導で謁見の部屋へと向かった。部屋に入り、皆で整列して待っていると、王女様方がいらっしゃった。第一王女のセシル様と第二王女のユリア様だ。お二人ともすごく綺麗!花祭りの時よりも断然と近い距離での謁見だ。すごく緊張する!でも、お二人はとても親しみやすい笑顔で話しかけてくださる。
「今日は無理を言ってごめんなさいね。歳もそんなに離れていない方たちが見学に来られてると聞いて、お会いしたくなったの。どうかごゆっくりなさってね」
(声も素敵だなぁ…)
そんなことを思っていると、セシル様がこちらに近づいてこられる。まさか私のところじゃないよね?と思っていると、そのまさかだ!
「あなたはお名前は?良かったら少しお話しましょう?」
そう言って微笑まれるセシル様に見惚れてしまって、一瞬固まってしまうのだった。
(へ、返事しなくちゃ…!)
「あ、アン・リードと申します!私で良ければお話しましょう!」
そう返事を返すと、セシル様がまた笑顔になって色々とお話してくださった。聞き役になっているうちに、少しずつ緊張がほぐれていく。
王族の方々は学園に通うのではなく、教師を招いて王宮で勉強される。貴族の子女から年齢の近い方がご学友として選ばれて、一緒に学ばれるそうだ。ご学友がいらっしゃるとはいえ、叶わぬ学園生活に思いを馳せることもあるのだとか。時には王宮を出て、大勢のクラスメイトに囲まれて学びたいと。だから、セシル様は主に学園での様子をお聞きになりたい様子だった。セシル様が王宮での様子を話してくださり、私は普段の学園生活のことをお話する感じだ。
そうしてお話していると、いつの間にかかなり時間が経っていたようだ。そろそろ王宮を出て、学校に戻らなければならない。
「学園でのことが聞けてとても楽しかったわ。ありがとう。また機会があったらお話しましょうね」
そう言って微笑まれるセシル様に、さすがに何度もお会いする機会はないんだろうと思いながらも…。
「こちらこそありがとうございました。王宮でのお話は知らないことばかりで、とても楽しかったです。またお会いすることがあったら、よろしくお願いします」
そう返すのだった。周りを見ると、ユリア様も少し離れた所でお別れの挨拶をされている。ユリア様も何人かと交流されたようだった。
そうして、先生の元に集まって改めて皆でお礼を言って、王宮を辞したのだった。こんな経験は中々できるものではない。家族の皆も王宮内には入ったことがないと言っていたし。こうして、貴重な体験は終わったのだった。




