夏休み明けー授業再開ー
楽しかった夏休みも終わり、学校が再開された。アリーネちゃんやジェシカちゃん、リラン君とは夏休み中に何度か遊んだけど、他のクラスメイトとは久しぶりの再会だ。夏休みの間の出来事を皆でお喋りするのに、休憩時間だけでは短過ぎる。今日は放課後も皆でお喋りかな?
午後になり、魔法の授業が始まる。今日からは風属性の攻撃魔法の授業に入るので、担当はキャシー先生だ。まずはキャシー先生に見本を見せてもらって、早速実践だ!
【風よ纏まり球となれ、我が狙いを撃ち抜け】
何度か練習したのだけど…。
(あれ?夏休みのブランクがあったからか、命中率がちょっと下がってる…?!やっぱり日々の練習が大事なんだ…。休み前は不規則に動く的以外には、百発百中で当てられるようになってたのに…!)
折角、命中率が上がってたのにとガッカリしながら、その後もめげずに何度か練習していく。そのうち夏休み前の感覚が戻ってきて、なんとか規則的に動く的には、百発百中と言える程に当てられるようになった。あとは、不規則に動く的だ!だが、不規則に動く的には、当たらない時の方が多い。
(やっぱり放課後はお喋りより、コントロールを磨く練習…?)
それでも、なんとか1週間程で風球の習得を終え、翌週からはリック先生から地属性の攻撃魔法の授業を受ける。地属性では石球を創り出すんだけど、手の前に創り出すから石の重さは全く感じない。
(もし持ってみろと言われても、かなり重そうだから…私には持ち上げられないかな?)
思わずそう思ってしまうくらいの大きさの石球が、目の前に創り出された。 まぁ、リック先生が創り出した石球はもうちょっと小さかったけどね…。最初に私が魔法を使った時に大き過ぎるのはよくあることだ。気にしない、気にしない…。さぁ、石球の呪文はこうだ。
【土よ固まれ石球となり、的を射抜け】
放課後にまた皆に練習に付き合ってもらったおかげか、命中率も上がっていたし、石球の習得も無事に終えることができた。次は光属性の攻撃魔法だ。最後にスミス先生から習えば、一通りの最初の攻撃魔法を習得したことになる。スミス先生に会うのも久々だから、ちょっと楽しみだ!
授業の前に少し夏休みの出来事などをお話する。スミス先生のことも聞いてみると、スミス先生も【花祭り】のパレードに、魔法の使い手として参加していたんだって。光の魔法でパレードをキラキラと華やかにさせるために。騎士様と王女様達に夢中で気づかなかった…。ガックリしてると、そんなものですよと慰めてくれるスミス先生なのだった。
気を取り直して、授業の始まりだ。光球を創り出す呪文はこうだ。
【光よ一点に集まり光球となり、的を射よ】
光球はそこまで眩しさはないけど、キラキラと光っていてすごく綺麗だった。でも、それを的に放つと、結構な威力を感じる。見た目と威力は関係ないんだな…。
光球の授業も、キリがいいからと1週間は練習を続けた後で習得が認められた。これで、なんとか最初の攻撃魔法を一通り習得することができた。さぁ、次は回復魔法である。
回復魔法って、火属性とか地属性でもできるのかな?と思っていたんだけど、回復魔法は何かを創り出すのではなくて、【聖光】に治癒の力を願うことによって行われるらしい。なので、どの属性持ちでも回復魔法の習得は可能なんだそう。
最初に習うのは自然治癒力をアップさせる回復魔法だ。呪文は自分の持っている属性と、寵愛か加護かのどちらを受けているかによって少し違うけど、あとはだいたい同じみたい。私が火属性で自然治癒力の強化を願う場合の呪文はこうだ。
【火神の寵愛により、治癒力の強化を願う】
これが火の精霊の加護だと、【火精霊の加護により、治癒力の強化を願う】になる。
練習は草花を用いて行われた。少し元気のない草花や、弱っているものに、この魔法を使うのだ。成功したら、急激にとはいかないけど、少しずつ元気になっていく。しばらく回復魔法をかけ続けていると、弱っていた花はすっかり瑞々しさを取り戻していた。
練習中なのに、人に使うわけにはいかないから、草花に練習に付き合ってもらうのだ。失敗したからといって、何か反動があるわけじゃなく、効果がないだけみたいだけど。
大きな怪我などを治す回復魔法でも、失敗の反動はないけれど、失敗したらつまりその人の怪我が治らないということ。まだ当分そんな大きな怪我を癒せるほどの回復魔法は習わないだろうけれど、今後習う時にはしっかり習得しなきゃいけないと思うのだった。いつかそんな魔法を使う日が来たら、失敗したくないもの!




