【花祭り】最終日ー【花姫】登場ー
【花祭り】も最終日となり、街の盛り上がりも最高潮を迎えている。露天商も売り込みに余念がない。地方から運んできた商品を売りきるべく頑張っているのだ。露店の前を歩いていると、どの露店からも呼び込みがかかる程だ。
今日はお昼からパレードが行われる。それが祭りの締めくくりでもあり、クライマックスだ。パレードは花で飾られた馬車に【花姫】が乗り込んで、首都の入り口から王宮前広場までの大通りをゆっくりと進んでいくというものだ。
かなりの距離があるので、スタート位置や王宮前広場はさすがに混み合うそうだが、大通りでパレードを見る分には少しは観衆もばらけるんだとか。混み合ってしまうと、子どもの目線ではパレードはちゃんと見れない気がする。混雑は避けて、おとなしく大通りで見ることにしよう。
【花姫】に選ばれるのは未婚の15歳までの少女で、今年選ばれたのはなんと本物のお姫様達だ!第一王女のセシル様が11歳で、第二王女のユリア様が9歳だそうだ。政務が忙しく中々民衆の前に出る機会を持つことができない皇王陛下に代わって、王女様方は少しでも民衆の前に出て、民衆に近い王族であろうとなさっているのだそう。その意を汲んで【花祭り】の実行委員長が、【花姫】になられないかと王宮に打診したところ、快く引き受けられたとのことだ。
これらの情報は、情報通のアリーネちゃんが教えてくれた。お店にはいろんなお客さんがくるし、情報通なのも頷ける。
というわけで、今年のパレードは例年以上に盛り上がるだろうと言われている。パレードは、【花姫】が馬車の上から花びらを振りまきながら進んでいく。その花びらを手にしたら、次の【花祭り】までの1年間の幸せが掴めると言われている。そして今年は、その花びらを振りまくのが本物のお姫様達なのだから…『いつもの花びらより効果があるに違いない!』と言われているみたいだ。きっと花びらの争奪戦になりそう…。私は手に入れるのは難しいかな…。
パレードは家族で見に行くことになっている。午前中は姉様と露店を見て歩いて、一旦家に戻る。そして、家族でまたパレードを見に大通りに出向いたのだった。
少しでも人が少ない場所をと思うが、やはりどこも多い。それでも、王宮前広場程ではないのだろうが。午前中から王宮前広場の辺りはすごい人だったしね。大通りも中央に馬車が通れるスペースを残して、あとは人がずらっと並んでいる。なんとか人が少なめなところを見つけたが、これからまた人が増えたらちゃんと見えるだろうか?
大通りでしばらく待っていると、遠くから歓声が聞こえたきた。馬車が近づいてきてるのだろう。かろうじて人と人の隙間から見えるけど…と思っていたら、父様が私を肩車してくれた!
「これならアンもよく見えるだろう?」
「うん!でも、重くない?大丈夫?」
「アンを肩車するくらい、軽い軽い!気にしなくて良いから、ゆっくりパレードを見なさい」
そう言って笑う父様に、私も笑顔になる。一気に視界が高くなった!遠くまで見渡せる!
「あ!パレードの先頭が見えた!もうすぐだよ!」
通りの先から、パレードの先頭が近づいてきた。先頭は騎乗した騎士様達だ。今日は騎士様も制服の飾りとして花を付けている。その後ろからやってくる馬車に乗っているのが【花姫】様だ!花で飾られた馬車もすごく綺麗だけど、姫様達のあまりの綺麗さに霞んでしまっている。
セシル様もユリア様もキラキラと輝く銀髪に、瞳はアメジストのような綺麗な紫色だ。緩く編んだ髪に、セシル様は紫の花を中心に、ユリア様はピンクの花を中心に、色とりどりの花を編み込んであって、すごく華やかだ。
お2人とも笑顔で手を振りながら、時折花びらを手に取り振りまかれる。風に乗って遠くまで飛んでいるところを見ると、風魔法も使われてるのかな?そんなことを思っていると、目の前に黄色の花びらが一枚飛んできた!慌てて花びらに手を伸ばすと、見事に手に取ることができたのだった!
手にした花びらを無くさないように、しっかり両手に包み込む。そして、パレードが通り過ぎるまでじっと見つめていたのだった。
肩車から降りると早速、父様達に花びらを見せる。父様達は花びらを手にできなかったから、花びらはこの一枚だけだけど、お祭りには皆で来たんだもん!きっとこれから1年間、家族皆が幸せなはず!その花びらは押し花にして、大事に取って置くことにしたのだった。




