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攻撃魔法ー水球よ出でよー

 最初の防御魔法の習得が終わり、今週からは攻撃魔法の授業だ。


 まず最初にキャシー先生から、水属性の攻撃魔法を習うことになった。水球を生み出して圧縮し、勢いよく放つ魔法だそうだ。水球を圧縮すればするほど、初級魔法でもそれなりの威力が発揮されるらしい。そこまで圧縮するのは、中々難しいらしいけど。


 この魔法は、水球を生み出すだけでなく、それを放つコントロールも必要だ。少々の魔法攻撃ではビクともしないらしい的が用意され、それに向かって魔法を放つのだそうだ。まずは動かない的に当てる練習をして、次は動く的へ当てる練習だ。



(動く的まであるんだ。どういう仕組みで動いてるんだろう?)



 といっても、最初は水球を生み出す練習からだ。これまでの授業と同じように、まずは先生のお手本からだ。



 キャシー先生は両手を組んで前に出すと魔力を防御魔法の時よりも多めに込めていく。そして、魔力を込め終わると、【水球よ出でよ、的を射よ】



 すると、キャシー先生の手の先に水の球が生まれ、少しずつ圧縮されていく。そして、拳くらいの大きさになったところで、的に向かって放った。


 水球は一直線に的に向かって飛び、的に命中すると弾けて消えた。さすが、丈夫な的。見事に命中したのに傷一つない。



 次に術者を中心に円を描くようにして回る的が用意される。術者の魔力を探知して回り始めるらしいけど、ほんと仕組みがわからない。


 キャシー先生が魔力を込め始めると、的がキャシー先生の周りを回り始める。キャシー先生は呪文を唱え、動く的をしっかり捉えて、水球を放った。見事、命中だ!すごい!



「動く的へ当てるのは難しいと思うけど、回るスピードは一定だから、何度も練習してたら、捉えられるようになるはずです。最初は水球を生み出すところからだけど、それはアンさんなら問題なくできると思うわ。まずは、動かない的にしっかり命中できるようになるまで、練習しましょう」


「はい、わかりました。やってみます!」



 的からある程度距離をとった所へ立つ。的との距離感をしっかり見定めてから、魔力を込め始め。



【水球よ出でよ、的を射よ】



 そう唱えると、大きな水球が生まれ、少しずつ圧縮されていく。元の水球が大きかったから圧縮された後も、キャシー先生が出した水球よりかなり大きい…。でも、最初だし大きい方がきっと的に命中させやすいはず!そう思って、そのまま的を目掛けて水球を放った。


 水球は的へ向かって放たれたが…的には命中しなかった。真っ直ぐに放ったつもりだったけど、少し上に向かっていたようで、的のかなり上の方を通り過ぎ、練習場の結界に当たるまで飛んでいった。



 そこからは、ひたすら練習だ。どうやら私にはあんまりコントロールはないらしい。どうにも真っ直ぐに放てない。少し右寄りだったり、左寄りだったり…。下に向かってしまった時は地面に勢いよくめり込んだ…。



 それでも、めげずに練習だ。キャシー先生も、時折アドバイスをくれるし、少しずつ的には近づいている。


 授業が終わる頃には、的まであと少し!といったところまでは軌道修正できた。続きはまた明日だ。明日になっても、今日掴みかけたものを忘れないようにしなくちゃ…!


 動かない的に当てるのがこんなに難しいなら、動く的に当てるのはコントロールがイマイチな私には相当難しいだろう。まずは動かない的に百発百中できるくらいになってから、挑戦かな。でも、ひたすら水球を創り出せる魔力だけは豊富にあるので、練習はしっかりできる!キャシー先生も何度でも見守ってくれている。明日からも頑張ろう!そう思って今日の授業を終えたのだった。


 教室に帰ってからは皆と情報交換。アリーネちゃん、ジェシカちゃん、リラン君の3人も生活魔法の習得は終わっている。【聖光】を呼び出すことにも手こずったみたいだけど成功して、今週から防御魔法を習い始めたらしい。3人ともクラスの中では早いペースで、進捗度で分けられたグループは3人一緒なんだって。いいなぁ。


 私も今日の授業のことを話しながら、球技遊びが得意なリラン君にコントロールが上手くなるコツがないかを聞く。すると今日の放課後、皆でボール遊びをしながら練習しようってことになった。ジェシカちゃんも球技が苦手だから、今のうちから練習しときたいって言うし、アリーネちゃんも練習に付き合ってくれるらしい。リラン君が先生役だ。楽しみながら練習したら上達も早そうだ!


 こうして、皆の協力のおかげもあって少しずつ私のノーコンは直っていくのだった。

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