【聖光】ー接し方は平等にー
なんなく【聖光】を感じ取ることができた翌日。【聖光】は意識を外せば視認できなくなる。そして、必要な時に意識を向ければ、また見えるようになる。最初に視認した時は、5属性の【聖光】すべてが見えたが、魔法を使う時は1属性づつである。だから、続いては望んだ属性の【聖光】を呼び出すことができるようになる練習だ。
だが、これは中々難しい。火の【聖光】が現れるようにと望んだのに、光や水の【聖光】も一緒に現れてしまう。
(なんで一緒に出てきちゃうの!?1属性だけってすごい難しい…!)
そう思って、コツがあればとスミス先生に聞いてみる。
「望んだ属性の【聖光】が現れてくれないということなら、よく聞きますが…。望んだ他の属性の【聖光】も出てきてしまうということは、聞いたことがないので、コツというのはありませんね。おそらく、どの【聖光】もアンさんの前に現れたくて仕方ないのでしょう。それだけ好かれているのです。【聖光】は本来、気ままな性格です。昨日、あっさり視認できたのが珍しいのですよ?好かれているということは、魔法を使う際に力も喜んで貸してくれるでしょうから、とてもいいことです。大好きなアンさんの言葉なら聞いてくれるでしょうから、ただ現れるのを望むだけでなく、お願いするように呼びかけてみるのはどうでしょう」
(そうなの?また普通じゃない展開なの?!こんなパターンばっかり…)
また幾分か凹んだアンだった。
「お願い、ですか?」
「そうです。火の【聖光】だけ出てきて欲しいと望むのでは、他の【聖光】が嫉妬するのかもしれません。ちゃんと順番に現れて欲しいと望むから、どうか今回は…というようにお願いしたら、わかってくれるかもしれません」
「わかりました。やってみます!」
そう言うと、早速試してみる。
(私も皆が揃ったところはとても綺麗だと思うし、できたら皆に現れてもらいたいの。でも、今は私が呼んだ順番に出てきて欲しい!必ず、順番に呼び出すから!お願い…風の【聖光】よ現れて!)
すると…今度はきちんと風の【聖光】だけが目の前に現れた!
「先生!お願いしてみたら、ちゃんと呼び出した【聖光】だけ出てきてくれました!続けて順番に呼んでみますね!」
そう先生に伝えると、約束通り順番に【聖光】を呼び出していく。こうして、授業が終わる頃にはきちんと5属性の【聖光】を1属性づつ望んで現れてもらうことができるようになっていた。
きちんと順番に呼ばれることが分かれば、出てきたい気持ちを抑えてくれるようだ。何度か順に呼んでるうちに、順番を飛ばしてしまうことがあっあ。すると次に他の【聖光】を呼び出した時に一緒に出てきてしまったりもした。平等に呼ばなければいけないようだ。
(ってことは魔法も一つの属性に偏らず使わなきゃってこと…?んー…どうだろう…。まぁ、それはまた習う時に問題があったら、先生に教えてもらおう!)
「もう大丈夫なようですね。明日からは休日ですが、最初は【聖光】を数日の間、望まないでいるといじけてしまうかもしれません。休日の間も、日に1度は呼び出してみてくださいね」
「わかりました!」
そして、今週の魔法の授業は終わるのだった。生活魔法を全部習得できた後は、【聖光】の存在を知って、実際に見ることができた。とても内容の濃い授業だったと感じるのだった。
教室に戻るとアリーネちゃん達と今日はそれぞれ何を習ったか、どこまで進んだかなどを話している。私が1番進んでしまっているが、良い予習になるといって、みんな私の話を楽しそうに聞いてくれる。私も皆の話を聞くのは楽しい。魔法の習得はハプニングも多いから、話題が尽きないのだ。
魔法の授業のことを話し終えると、続いては明日からのお休みは何をする予定かなどをお互いにしゃべった。
私はせっかく火を起こす魔法を習得できたのだから、今週のお休みは家で実際に使ってみるつもりである。姉様に相談すると、それなら一緒にお菓子を作ろうということになった。石窯に私が火を起こし、お菓子を焼くのだ。
それを話すと、アリーネちゃんもジェシカちゃんも、リラン君までもが一緒にお菓子を作ってみたいと言い出した。
アリーネちゃんやジェシカちゃんは、お菓子を作るって言ったら一緒に作りたいっていうかなと思っていたので、姉様にはお友達を呼ぶかもしれないと、事前に話していて了承済みである。
リラン君は作ることより、出来たてのお菓子を食べることの方に興味があるみたいだが、来てくれるのは大歓迎だ!
明日はお昼過ぎにうちに集まってもらうことになった。お菓子を作って、午後のおやつは手作りお菓子でお茶会だ!




