二人の魔装束
姉の茜、妹の明里。二人はそれぞれが身に付けている物に手を沿えた。
茜はエメラルドのような石がついた指輪。
明里は水色の結晶のネックレス。
「水よ。今、私の心に応え、ここに私に戦うための力と加護を授けたまえ」
「大いなる風よ。今こそ、刃と成りて我に、この場に武勇を示す、力を、授けたまえ」
二人の言葉に応えるように石が輝きを放ち増していく、そして、二人の体はその輝きに包まれた。
輝きが消えた時には、美しい少女達がそこにいた。
明里は、水を象徴するかのような水色の踊り子のようなを衣装を纏っている。その姿はまさに、水の妖精。いや、水の妖精とでも言っても言い足りない可憐な美しさを持っていた。
対して姉の茜は、朱色の袴が印象の巫女装束であった。こちらは明里とは違った美しさと凛々しさがあった。
二人からは、魔力が放出され、明里は、水色に輝き、茜は、緑色に輝いて、二人をより美しくさせていた。
光は、そんな二人の姿に目を奪われていた。
(これが、二人の展開した〝魔装束〟か)
光は、ただ、ただ、魅いらていた。
魔装束。
一言で言えば、魔法師が纏う鎧、戦闘服である。しかし、戦闘服と言っても様々で、その人個人にあった形になる。そして、それらを展開するための媒体となる物は、明里と茜がさっきまで身につけていたアクセサリー、それらは、〝ロッド〟と呼ばれている。名前の由来は、おとぎ話に出てくる魔法使いが使う魔法の杖からきている。魔法を学ぶにあたっては、必ず持つ物であり。魔法師にとっては、無くてはならない代物でもある。
ある、一人を除いては。
魔装束を纏った二人は、再び、構えた。
ここから先はさらに試合は激化する。
もう、試合ではなく、魔法師の本来の戦闘へと。
「いくよ。お姉ちゃん!」
「さあ、明里、こいっ!」
両者から目で見えるほどの魔力が二人の体から放出させこれから起こる試合の凄まじさを予感させていた。