癒世家の武術
10/12。付け足しとちょっとの文章の変更をしました。
癒世家は昔から古流武術を伝えてきた家系だ。魔法が実用化されるにあたり魔法師としての身体能力向上や基礎戦闘能力の向上のために様々な武術が導入されていった。今では魔法院で魔法に関する技術以外に空手や柔道や剣道といった武術がカリキュラムに組み込まれているほどにだ。しかし、武術の必要性が高まったため、様々な古流武術の道場に生徒が教えをこうために来るようになっていた。学院には多くの道場の出や門弟がいるために様々な戦闘スタイルを持つ生徒が多くいるようになった。
癒世家の武術もそれに類として入っていた。
今では何十人もの門下生がいる程である。
しかし、何よりもこの流派を有名にしたのは二人の〝姉妹〟であった。
癒世家の長女である癒世 茜が学院で高い成績と実力を示したのが始まりとなり。さらに、妹の明里も同じように小学生の時から同じように高成績を出したためでもあった。そのため、道場には力をつけたい人や彼女達のようになりたい人が来るようになっていった。
しかし、その仲には二人を目的に来る変な奴も存在している。
そんな日々、稽古で使われる道場に三人はいた。
だが今の道場内は緊迫した空気に包まれていた。
理由は明白。
今から茜と明里の試合が始まろうとしていたからだ。
両者とも胴着を着て、それぞれ構えをとっている。
光は審判として二人から少し離れている。
「二人とも、準備の方は?」
二人は頷いた。
二人の様子を見て光は右腕を上げ、振り下ろした。
「始め!」
合図と共に二人は疾風の如く動いた。
先に仕掛けたのは明里の方だった。
突進した勢いをそのままに右拳を突き出す。
茜は体を捻りそれを避ける。そして、捻る勢いで右足を軸に回し蹴りを繰り出す。
「ふん!」
明里は左腕でガードする。しかし威力があったため数メートル吹っ飛ぶ。しかし明里はまるで猫のように空中で回転して着地。
そして、着地と同時に床を蹴り、茜にむかっていった。
明理の正拳突きが飛ぶ。
茜はそれを片手で受け止めた。
両者はここで力が拮抗してせめぎ合った。
この試合が始まってまだ、数秒しかたっていなかったが見る者達を圧倒させる戦いが繰り広げられていた。
「さすがね。お姉ちゃん、すごい、力」
「あなたもよ。明里、さすがのバランスと身軽さ」
二人は後方に跳び距離をとった。
「ねえ、今度は〝魔法〟で勝負しない?」
「いいね。お姉ちゃん。でも、負けないよ」
「それは、こっちのセリフだ」
姉妹の戦いはさらに、激化する。
光は二人の試合を黙って、真剣な表情で見つめていた。