バトル
ライフポイント200同士の戦いは、静寂のなかに火花が散るような極限状態から始まった。観客席の声すら遠のくほどの緊張感。対峙するのは、計算高く冷徹な攻めを見せる剣菱将と、どこか底の知れない余裕を漂わせる冬巡いつき。二人の視線が交差する盤面には、まだ何の実体も存在しない。
第一手。先攻の将、そして後攻のいつき。両者は示し合わせたかのように、魔力の源泉となる塔カードを戦場へと配置した。まずは基盤を整える。将の呟きは、嵐の前の静けさを象徴していた。互いに魔力を蓄え、次なる一手への導火線に火を灯す。
二手目。将が動く。彼は二枚目の塔カードを淀みなく展開すると、手札から一枚の魔法カードを突き出した。混沌の儀式発動。溢れ出せ、負の魔力。塔から供給される純粋なエネルギーが、儀式によってどす黒い濁流へと変質する。その魔力をコストに、将は山賊軍団Bを召喚した。戦場に現れたのは、爛々と目を輝かせ、荒野を駆け抜けるような生命力に満ちた褐色肌の美人軍団だった。彼女たちは不敵な笑みを浮かべ、獲物を定めるようにいつきを睨み据える。対するいつきは、依然として動かない。ただ静かに二枚目の塔カードを置くのみで、手番を終了させた。守りを固めるつもりか、それとも何もできないのか。将の挑発に、いつきはただ薄く微笑むだけだった。
三手目。将の盤面はさらに強固なものとなる。三枚目の塔を建設し、その豊富な魔力でさらなる戦力、山賊軍団Aを召喚した。彼女たちもまた、鍛え抜かれた褐色の肢体を躍動させる美しき戦士たちだ。パワー30。行け、山賊軍団B。挨拶代わりだ。将の命を受け、褐色肌の女戦士たちがしなやかな動きでいつきへと襲いかかる。いつきの残りライフは170。30ポイントのダメージ。いつきの顔がわずかに歪むが、彼は動じない。自身のターン、いつきは三枚目の塔を建てると、ようやく設備を整え始めた。アイテムカード、魔力電池を建設。僕の戦いは、ここから貯蔵される。電池だと。悠長な真似を。
四手目。将の攻勢は加速する。さらに塔を増やし、魔力の供給ラインを盤石なものにした彼は、二隊の山賊軍団に突撃を命じた。A、B、共にゆけ。その命を削り取れ。褐色肌の美人たちが戦場を縦横無尽に駆け、パワー30の二連撃がいつきを襲う。合計60のダメージ。いつきのライフ残り110。既に半分近くまで削られていた。しかし、いつきは無言で四枚目の塔を建設し、全ての魔力を魔力電池へと注ぎ込む。電池の目盛りが、怪しく光り輝き始めた。




